今、この時代のジェームズ・ボンドを描く

2021年10月2日 平沢 薫 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ ★★★★★ ★★★★★

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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

 今、この時代にジェームズ・ボンドを描くならこうなるーーーということなのではないか。ダニエル・クレイグ版のボンドは、最初から生身の人間らしさが魅力だったが、彼の最後のボンドとなる本作は、それを際立たせる。彼は人を信じ切ることができず、そのことを悔やむ。肉親というものと縁を切れない。そうした普通の生身の人間を描くのに相応しく、血縁、復讐、バイオ兵器といった有機的要素が多用され、映像の質感も、サム・メンデス監督による前作/前々作の硬質さとは対照的に、暖かく柔らかく生っぽい。
 楽しいオマケは、ベン・ウィショー演じるQの自宅でのオフ姿。今回のQは見どころが多く、Qファンは必見。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「Movie Walker」「日経エンタテインメント!」「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:『第9地区』のニール・ブロムカンプ監督の短編映画をまとめて見られるのが連作『Oats Studios』@Netflix。これらのディストピア系SF短編の数々を見ていると、この監督の新しい長編映画が見たくなる。ブラック・コメディ系の短編はちょっと……だけど。

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