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細やかな光と影と官能が重なり合う

2022年5月18日 平沢 薫 帰らない日曜日 ★★★★★ ★★★★★

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帰らない日曜日

 1924年、3月の英国。緑に囲まれた邸宅。降り注ぐ光はきらめくが、強くはなく柔らかい。その光が植物にも人々にも降り注ぎ、どこまでも細やかな陰影を生み出す。画面は、それを余すところなく映し出す。

 映画は、書くということについての物語でもあり、異邦人には真髄までは読み取り難い英国の階級意識をめぐる物語でもあるが、主人公が感受する官能の物語にもなっていて、そのどれもが同質の繊細さを持ち、それぞれが波が重なるように影響し合う。自転車に乗る主人公が、髪を風が通っていく時に感じ取る身体的快感と、そのときに湧き上がる開放感が、互いを増幅させる場面が何度も繰り返され、その快感が画面から伝わってくる。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「Movie Walker」「日経エンタテインメント!」「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:ニール・ゲイマンの原作コミックをドラマシリーズ化する『サンドマン』@Netflixの8/5配信日決定予告編が登場。この機会に、まだ途中までしか刊行されていない、原作コミック日本語訳版が全巻刊行されたら嬉しいのだが、さて。

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