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ただ想い続けることの密かな愉悦

2014年12月16日 平沢 薫 暮れ逢い ★★★★★ ★★★★★

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暮れ逢い

愛しい人との間には、いつも距離がある。彼女の弾くピアノの音を、遠くの部屋にいながら聞く。彼女がいないときに、彼女が弾いたのピアノの鍵盤の匂いを嗅ぐ。彼女の動く影を、遠くの窓のカーテン越しに見る。愛しい人との間にある距離に、秘めた想いが静かに満ちて行く。映画は、主人公が愛しい人に出会ってから実に8年後に初めて接吻を交わすまでの、その距離に満ちていくものを丹念に描いていく。舞台は第一次世界大戦前後のドイツ。季節は秋。「仕立て屋の恋」「髪結いの亭主」のパトリス・ルコント監督が、今回は華やかなパリではなく、ドイツの晩秋の深い色調で、静かな想いに秘められた愉悦をそっと味あわせてくれる。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「Movie Walker」「日経エンタテインメント!」「DVD&動画配信でーた」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:SFアニメ・アンソロジー『ラブ、デス&ロボット』@Netflix のシーズン3が配信に。今回の裏テーマは黙示録? ティム・ミラー監督『巣』の原作はブルース・スターリング。シーズン1『目撃者』のスペイン出身監督アルベルト・ミエルゴの『彼女の声』のビジュアルも強烈。

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