高潔な理想家に突きつけられた競争社会の残酷な現実

犯罪や汚職が蔓延る’80年代初頭のニューヨークを舞台に、一代で財を成した苦労人の実業家が会社存続の危機に直面する。
清廉潔白なビジネスを信条としてきた主人公アベル。しかし、それは生き馬の目を抜く競争社会においては弱点であり、事業の拡大を図った途端に様々な妨害や嫌がらせを受け、さらには当局から疑惑の目まで向けられてしまう。
誰にでも平等にチャンスの与えられる自由の国では、しかし成功にも幸福にも当然のごとく高い代償が求められる。それはアメリカだけに限った話ではないだろう。夢を追い求める高潔な理想家の眼前に広がる凍てついたグレーな世界は、まるで資本主義社会の残酷な現実を突きつけるかのようだ。