シネマトゥデイ

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サリンジャーが"祈るように書く"

  •  ひとつのサリンジャー論。本作はこの作家を、次第に"祈るように書く"という境地に至り、それを実践した人物として描く。その境地を風景に翻案すると、主人公が晩年に田舎の家で味わった秋の情景になるのだろう。だから、映画の冒頭のまだ主人公が若い頃から、画面は常に、秋の豊かな大地のように落ち着いた色調で、湿度が高い。
     晩年のサリンジャーは公の場に出なかったので、当時の彼がどのような人物だったのかはさまざまな描き方が可能だろう。その中で、この映画が描く、周囲の騒音から身を遠ざけ、ひたすら真摯にただ書くことを続けるサリンジャー像は、彼の愛読者たちが思い描く通りの人物像なのにちがいない。

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平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。著作に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: シリーズ「グラック・ミラー」中の1作、「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」@Netflixがスゴイ。ストーリーの展開を視聴者が選択してドラマが展開するインタラクティブ・ドラマなんだけど、形式とモチーフの相乗効果が抜群。主人公がゲーム作者で同じようなゲームを作っていて、見ているこちら側もストーリーの迷路の中を彷徨うことに。

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