少女の心は、はちどりの羽ばたきのように

2020年6月16日 平沢 薫 はちどり ★★★★★ ★★★★★

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はちどり

 柔らかな色彩も映像のリズムも、アメリカのインディ映画の趣き。これには、韓国の大学の映像学科の後、米コロンビア大学院で学んだという監督の経歴も関係しているかもしれないが、それよりも、主人公である中学2年生の女の子の微細な心の揺れを描くときに、出身地は関係ないということなのかもしれない。タイトルのはちどりは、鳥類の中で最も体が小さく、羽が目に見えないほどの高速で羽ばたく。それによく似た、目を凝らさなければ見えない主人公の心の羽ばたきを、映画は静かに映し出していく。そこに、90年代の韓国ソウルの社会の空気の変化が、実際に起きた出来事とともに、そっと重ね合わされていく。その手つきがさりげない。

平沢 薫

平沢 薫

略歴:映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「SCREEN ONLINE」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」「Movie Walker」等で執筆。他に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況:「マルコヴィッチの穴」「アダプテーション」の脚本家チャーリー・カウフマン監督・脚色の「もう終わりにしよう。」@Netflix、映画だけ見ても面白いが、イアン・リードの同名小説(ハヤカワ文庫)を読むと、カウフマンがこの小説をどう読んだのかが見えてきて面白さ倍増。

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