夢に破れてもそこで人生が終わるわけじゃない

少年時代より将棋のプロを目指しながらも挫折した若者が、自らプログラム開発した将棋AI「AWAKE」をひっ下げ、かつてライバルだった若手天才棋士に挑む。2015年の将棋電王戦FINAL第5局の実話からインスパイアされた物語。良くも悪くも奇をてらわぬ折り目正しい語り口で、同じく将棋を題材にした『3月のライオン』や囲碁×アクションのハイブリッド『神の一手』などと比べると地味な作品だが、しかし人生のセカンド・チャンスに賭ける主人公の執念と情熱には共感するものがある。夢を叶えることが出来る人などほんの一握り。だが、たとえ夢に破れてもそこで人生が終わるわけじゃない。若者にはいくらでも可能性があるのだ。