感情移入させまくる設定。だからこそ、あえて言いたいことも

特に前半、かなりのシーンでモノローグがかぶる。感情はもちろん、「●●を食べた」とか観てればわかる状況まで強迫観念のように続く饒舌さは、「2人の日記」という意図だそうだが、登場人物の気持ちを想像する「映画の豊かさ」は失われていく。
もう1点、押井守で始まる、2人が繰り出す「知ってるとカッコいい」固有名詞の数々が、彼らのオシャレ感覚を伝えるが、では彼らが本当に何が好きなのか判然としない。流行を記号的に追う薄っぺらさへと変貌する。
それらが気にならなければ、出会いから、ときめき、共同生活の幸福感、仕事や人生観も含めた、思いのすれ違い…と、5年間の運命は、最高の恋愛映画となるだろう。