ハイパーボリア人 (2024):映画短評
ハイパーボリア人 (2024)
混沌とした現代を不気味に映し出す唯一無二の怪作
『オオカミの家』の映像作家コンビ、レオン&コシーニャが手掛けた長編第2弾。今回はさらに奇妙な怪作に仕上がった。女優アントーニア・ギーセンやレオン&コシーニャ監督が実名で登場し、これまた実在の文化人で熱狂的なヒトラー信奉者だったミゲル・セラーノも言及され、虚実入り乱れる中で縦横無尽に展開する禍々しいイメージと不条理なエピソードの数々。実写・アニメ・影絵・パペット・16ミリフィルム・アナログビデオなどあらゆる表現手法がぶちまけられ、物語形式の常識を徹底的に破壊しながら、それでもなお映画としては首尾一貫している。世界中でファシズムの台頭が顕著となった今の時代を不気味に映し出す作品だ。
この短評にはネタバレを含んでいます