哭戦 オペレーション・アンデッド (2024):映画短評
哭戦 オペレーション・アンデッド (2024)
ライター2人の平均評価: 3
変化球にもほどがある!
台湾産ゾンビホラー『哭悲』の二番煎じのような邦題が付いたタイ産ゾンビホラー。噛み噛みな日本語のセリフ回しなのに、字幕なしという惨状に加え、『オオカミ狩り』に続き、731部隊がモデルということもあり、荒唐無稽な展開になりそうだが、テーマは真っ当な反戦と家族愛。女子供にも容赦ないグロ描写アリの青春映画という変化球にして、『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』の“ニノ似”ことノンクンが演じるデキる伍長が頑張れば頑張るほど、虚しさが募る。彼の弟を含む、ゾンビ化してしまった少年兵たちにしっかり意識があることなどから、この邦題が決して行き当たりばったりでないことに気付かされる。
タイ産のゾンビ戦争アクションは意外にも真面目な反戦映画
第二次世界大戦下の1941年、中立の立場をとるタイ王国が大日本帝国の侵略を受け、最前線の少年兵たちは日本軍が開発した恐るべき生物兵器=ゾンビの餌食に。やがて自らもゾンビになった彼らは、敵と味方の両方を恐怖と混乱に陥れる。注目すべきはゾンビとなった後も、生前の記憶や自我がそのまま残されていること。実は保身のために裏で侵略者の日本人と結託していたタイ軍幹部、そのせいでみすみす犬死させられた少年兵たち。抑えきれない人肉食の衝動に葛藤しつつ、愛する家族や平和な日常を愛慕する彼らの怒りと哀しみに反戦のメッセージが託される。荒唐無稽なようで実は極めて真摯な反戦映画。しっかりグロ指数が高いのも良し。