アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓 (2022):映画短評
アメリカッチ コウノトリと幸せな食卓 (2022)
アイデンティティについても考えさせる人間ドラマ
多くの人があまり知らない時代、地域の暗い歴史を、ひとりの男性の視点から見るヒューマンストーリー。そこで起きることは非常に不条理で、罪深く、残酷。しかし、監督、脚本家も兼ねるマイケル・グルージャンは、逆境にあっても明るさを見出そうとする人間の強さを見せつける。政治については深く触れないものの、人は人なのであり、悪い方にコントロールするのは権力とその恩恵を享受する一部の人たちなのだという(悲しくも)タイムレスな事実は、しっかりと伝わってくる。移民問題に注目が集まる今、時代こそ違っても、アメリカから故郷に戻るという逆のケースを見つつ、アイデンティティについて改めて考えさせるのも興味深い。
この短評にはネタバレを含んでいます