アジアのユニークな国 (2025):映画短評
アジアのユニークな国 (2025)
めちゃくちゃ面白い
ブニュエルと小津の隙間から出てきた様な『夜明けの夫婦』に続く「純粋社会派深刻喜劇」の第2弾。ある主婦のお話だが、最初の一歩からいきなりわざと地雷を踏む勇猛な攻めの姿勢を見せる。『WALK UP』や『敵』と同様にひとつの家/建物が主な舞台。主人公の曜子(鄭亜美)の行為は『ジャンヌ・ディエルマン』も彷彿させるが、山内ケンジ監督が試みたのは、鋭敏さと図太さの矛盾を抱えながら、おっとりと生きる人間と、彼女を取り巻くおかしな環境についての至近距離からの生態観察だ。
いったいこれは「政治的」な映画なのだろうか。それとも愉快犯か。だが意外に本気の日本論と“今後の為の提案“が装填されているのは間違いない。
この短評にはネタバレを含んでいます