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LOST LAND/ロストランド (2025):映画短評

2026年4月24日公開 99分

LOST LAND/ロストランド
(C) 2025 E.x.N K.K.

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

中山 治美

日本のケン・ローチ

中山 治美 評価: ★★★★★ ★★★★★

よく日本の映画は「半径5m以内の世界しか描けない」と揶揄されることが多いが、藤元明緒監督は広くアジアに視点を置く貴重な存在だ。『僕の帰る場所』、『海辺の彼女たち』で日本における移民の実態をフィクションに落とし込んだのに続き、今回はミャンマーでタブー視されているロヒンギャ問題に斬り込んだ。しかも当事者である難民を起用し、彼らが新天地を目指す過酷な旅を再現した。その覚悟と、ドキュメンタリーかと見紛うほどの境地まで持っていった緻密なフィールドワークと人間関係の構築は並大抵なものではないだろう。当事者にとってもPTSDになりかねない挑戦だが、この実態を知らしめたいとする製作陣の熱量が生んだ力作だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

映画史的にも重要な画期点となったロードムービー

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

史上初となるロヒンギャ語長編映画を日本の監督が撮った驚き。その担い手が藤元明緒である必然に胸を打たれる。『僕の帰る場所』『海辺の彼女たち』と続く一貫した越境への視線をさらに拡張し、幼い姉弟の旅路に寄り添いながら難民の現実を立ち上げる。カネフスキー『動くな、死ね、甦れ!』の影響は随所に滲み、過酷な亡命の道程に子供だけが感じ取れる冒険のきらめきがそっと差し込まれる。

姉弟の姿には『火垂るの墓』の兄妹が共有した束の間の幸福を思わせる瞬間があり、悲しみと生の手触りが複雑に重なる。撮影は名手・北川喜雄。闇を捉える呼吸が密航の不安と幻想性を同時に呼び起こし、語り得ぬものに手を伸ばすような余韻も深く残る。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

子どもの眼差しが射る、難民越境の過酷

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 予備知識のないまま観たが、序盤は『ビヨンド・ユートピア 脱北』風のドキュメンタリーかと思ってしまった。それほどまでに映像に迫真性が宿る。

 ロヒンギャ難民を実際にキャスティングして越境の困難を描写。何日も続く航海や山越え、飢えなどの試練、越境を食い物にするブローカーの悪意、そして不意に訪れる死。感傷を挟まず、それらを冷徹に見つめたからこその重みが宿る。

 『僕の帰る場所』に続いてミャンマーに目を向けた藤元明緒監督は、本作では子ども目線に軸を置いた。苦難を苦難とも思わず、越境の過程にも遊びを見つける子どもたちの視点。それがあるからこそ、無情の世界の冷酷さが刺さってくる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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