幕末ヒポクラテスたち (2025):映画短評
ライター3人の平均評価: 3.7
軽妙洒脱な筆致で医療の在り方と命の尊さを真摯に描く
激動する幕末の京都を舞台に、田舎の貧しい人々にも西洋の進んだ医療を広めたいと孤軍奮闘する蘭方医を描く。「医療ドラマ」であること以外に、大森一樹監督の『ヒポクラテスたち』とのストーリー的な関連性はなし。なので同作を未見でも全く構わない。そもそも本作は稲垣浩監督の『ふんどし医者』のリメイクに当たる。軽妙洒脱でほのぼのとしたユーモアを交えつつ、生と死をありのままに見つめた大らかな語り口はとても魅力的。戦乱の世にあって身分や立場に関係なく人命を尊重し、誰もが平等に医療へ繋がれる世の中を目指す主人公たちの崇高な志は、世界中で紛争と対立と格差の広まる現代社会にも求められる姿勢ではないだろうか。
終わりのない医術という道のり、その中の尊い瞬間
『ヒポクラテスたち』の大森一樹監督が遺した企画。なぜ今作られるべきなのかを考えながら観たが、いつの時代にも有効な物語だ。
時代劇らしい大らかさが生きてユーモラスに映る場面も多いが、一方には未知の伝染病という、現代に通じる笑えない現実も。命を救う使命に全力を傾ける医師たちの精神が、今も昔も変わらないものであることを痛感させられた。
“命は短く、医術は長い”というヒポクラテスの言葉が頻繁に語られるが、それは医師の哲学であると同時に、医術という長い長い“線”の中に、その時代・時代を生きる医師の命という“点”があることを俯瞰させる。そういう意味でも秀作。
医は仁術なりを改めて感じられる一本
故・大森一樹監督のブレイク作『ヒポクラテスたち』の遺志を継いだ医学ドラマ。タイトル通り新たな医学が流入してきたころの時代の物語となっています。ただ、原点に当たる映画のこととか、医学の歴史についてはあまり知らなくても良い構造になっています。物語の根本にあったのは”医は仁術なり”という非常に普遍的なテーマでした。主演の佐々木蔵之介を筆頭に人生の悲喜劇を巧く演じられる人たちが揃っているので非常に安心して楽しめます。キャストについては実は『ヒポクラテスたち』と縁が深い人たちもいるので、見た後でいいのでちょっと調べてみるとニヤリとさせられます。























