黒の牛 (2024):映画短評
リー・カンションが放つ人間讃歌
ツァイ・ミンリャン監督「行者(walker)」プロジェクトで、世界の都市を超スローモーションで歩く人生修行を積んできたリー・カンション。辿り着いた先が本作だったのかと、合点のいく巡り合わせ。役者じゃなくとも、人間はカメラを向けられれば何らかの欲が生じるもの。しかしリーは土砂降りに見舞われようが、牛に翻弄されようが、泰然と存在する。その力強さは、自然災害や人災を乗り越え、綿々と営みを続けてきた人間そのものの逞しさを表しているかのよう。本作はフィルムで撮影された大自然の映像美が高く評価されている。それはミレーの「落穂拾い」のごとく、その土地で育まれた生命の躍動あってこそ成立しているのだ。
この短評にはネタバレを含んでいます





















