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『デスノート』の金子監督大激怒!リミックスの著作権はどうなっているんだ!

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叢峰監督を囲んで、崔洋一監督と根岸吉太郎監督
叢峰監督を囲んで、崔洋一監督と根岸吉太郎監督 - Photo:Harumi Nakayama

 山形国際ドキュメンタリー映画祭2009で今年から日本映画監督協会賞が創設され、中国映画『馬先生の診療所』の叢峰(ツォン・フォン)監督が受賞した。同協会理事長の崔洋一監督から、バトンをかたどった金のトロフィーと賞金30万円が贈られた。

 同賞は、73年の歴史を持つ日本映画監督協会が、映画の可能性を示す国内外の新しい力とのさらなる出会いを願い創設したもの。今年、同協会常務理事を務める根岸吉太郎監督が山形の東北芸術工科大学映像学科長に就任したこともあり、「何か協力できないか」と提案したことがきっかけだったという。

 今年の同賞審査委員長は、映画『蕨野行(わらびのこう)』の恩地日出夫監督、審査員に根岸監督、映画『DEATH NOTE デスノート』の金子修介監督、映画『ぼくらの七日間戦争2』の山崎博子監督、ドキュメンタリー『映画 日本国憲法』のジャン・ユンカーマン監督が務め、会期中全部門の映画を手分けして観賞、逸材探しに奔走(ほんそう)した。

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 それぞれ趣味も経歴も違い、かつ個性的な監督たちが選んだのは、中国山間部にある診療所にカメラを据え、そこを訪れる患者と医師の会話から現代中国の社会情勢や市井に生きる人々のドラマを描いた『馬先生の診療所』。叢峰(ツォン・フォン)監督が1年もの間同地に滞在し、村人たちと人間関係を築き上げながら撮った労作だが、上映時間は何と、215分。受賞理由について、根岸監督は「今回の映画祭で最も上映時間の長い作品で、敬遠した人も多いでしょう(笑)。地味でオーソドックスな作品ではあったが、アジアの若い才能の可能性と良心に対して、黄金色の光のバトンを渡したいと思った」とコメント。

 そのほか同協会が初参加したことによって、今年は新鮮かつ刺激的な風が映画祭に吹き込まれた。賞の新設を記念して行われたシンポジウム「著作権とは、オリジナリティーとは何か」では、コンペティション部門に出品していたカナダ映画『RiP! リミックス宣言』のブレッド・ゲイラー監督と金子監督が大バトルを展開。
 
 同協会は長年現行の著作権法が定める「映画の著作権は出資した製作者にある」に異を唱え、「監督は映画の著作権者である」と主張。同協会70周年記念には、この問題を考える映画『映画監督って何だ!』を製作、知的財産の保護には敏感だ。しかしゲイラー監督の映画は、既存の映画や音楽をリミックスした新しいアートが生まれていることを奨励し、彼らの前に立ちふさがる古い著作権法を見直すべきという内容で、世界中の映画祭で物議を醸している。
 
 そのゲイラー監督に対して、金子監督は「コンピューターの中でいじられているオリジナルの映画を作っている者として、あなたの映画は許すことはできないし、その映画を観て拍手している観客もどうかと思う。ゲイラー監督もコンピューターの前から離れて、一から映画を作ってみたらいい」と発言。それに対してゲイラー監督は鼻で「フフッ」と笑った後「映画を作ったことはありますよ」と挑発し、会場は一気に険悪ムードになった。しかし崔監督が「われわれとゲイラー監督の違いは明確に出ているが、向かう敵は権利を持つ大企業であることは変わらない。いずれ同じように語れる時期が来るでしょう」とまとめ、その場は事なきを得た。

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 しかし金子監督の怒りは収まらないようで、日本映画監督協会賞の受賞者会見で再び「ゲイラー監督がやっていることは海賊版と同じ!」と議論を蒸し返し、隣にいた恩地監督から「しつこいな」とツッコまれていた。その恩地監督も表彰式で日本映画監督協会賞を発表する際、「できるなら日本の若い監督を見出したいと思ったが、そこに幸福な出会いはなかった。映画は時代を写す鏡というが、現代の日本からいい映画が出て来ないのは、緩い社会が原因かもしれない」と痛烈にコメントし、ベテラン監督の味を見せた。崔監督は、今後も協会として山形国際ドキュメンタリー映画祭に参加していくことを明言。同映画祭に参加する若手監督にとっては怖い存在となりそうだ。なお同映画祭は、15日の受賞作の上映をもって閉幕する。(取材・文:中山治美)

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