『ピアノ・レッスン』監督、カンヌで女性だけの審査委員を提案

女性監督として初めてパルムドールを受賞したジェーン・カンピオン監督
女性監督として初めてパルムドールを受賞したジェーン・カンピオン監督

 映画『ピアノ・レッスン』『ある貴婦人の肖像』などのジェーン・カンピオン監督が、9月8日(現地時間)ニューヨークのリンカーン・センター・フィルム・ソサエティで開催されたイベントで、自身のキャリアについて振り返った。

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 映画界に入った経緯についてカンピオン監督は「映画製作をするきっかけになったのは、美術学校(シドニー・カレッジ・オブ・アート)だったの。その学校に通った理由は、絵を描いたりすることが好きだったからなんだけど」と話し始める。だが、自分の絵の才能に限界を感じたそうで、その後、オーストラリア・フィルム・テレビジョン・アンド・ラジオスクールで映画製作を学ぶことになったという。

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 映画界で長年活躍してきたが近年は、「トップ・オブ・ザ・レイク ~消えた少女~」とその続編「トップ・オブ・ザ・レイク:チャイナ・ガール(原題) / Top of the Lake: China Girl」でテレビ作品を手掛けているカンピオン監督。「わたしが最初に映画に関わって、映画の世界に恋してしまった頃の映画は、とても危険で、興奮させられて、斬新なアイデアを作る場所だったの。でも時間の経過とともに、映画界はより保守的になり、観客を喜ばせるための世界になっていったわ」と嘆く。しかし、そんな時期にある番組に出会ったそうで「テレビシリーズ『デッドウッド ~銃とSEXとワイルドタウン』を観たとき、椅子から立ち上がって『オー、マイゴッド! テレビでもこんなことができるの』と叫んでしまったのよ。あの番組はとても勇敢で素晴らしく、生々しい上に、テレビ界での自由さにインスピレーションを受けて感動したわ」とテレビ界参入の経緯を明かした。

ジェーン・カンピオン
自然体の魅力を放つジェーン・カンピオン監督

 『ピアノ・レッスン』で女性監督として初めてパルムドールを受賞したカンピオン監督は、2014年に第67回カンヌ国際映画祭で審査委員長を務めた。「カンヌ国際映画祭は、これまでわたしに良くしてくれたわ。そこで、わたしが審査委員長になったときに、この映画祭のディレクター、ティエリー・フレモーに『審査委員を女性だけにするのはどう?』と提案してみたの。それは男性のフィルムメイカーが、『女性は何を考えているのか? 僕の映画の何を女性は気に入ってくれるのか?』と初めて考えなければいけなくなるからで、個人的にその提案が素晴らしいと思ったわ。わたしは、これまでずっと男性は何を考えているのか気にしてきたから、そろそろ、そういう(女性だけが審査委員をする)時期がやってきてもいいと思っているのよ」と笑顔で話す。

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  デヴィッド・リンチジム・ジャームッシュベルナルド・ベルトルッチらが最も影響を受けた監督だという彼女は「特に、わたしは“人間であるという単純なこと”に興味を示すフィルムメイカーに共感するの。ただフィルムメイカーとしては、(どんな監督でも)いつも寛大な心を持って鑑賞しているつもりよ」と語る。

 『ピアノ・レッスン』が、なぜあれほどまでに世界中に共感を呼んだのか、との質問に対しては「強い女性の観点であることかしらね。事実、ホリー・ハンター演じる主役のエイダは、話すことができないけれど、彼女の内面には頑固さ、強さがあるの。映画内の当時の女性が、世の中でろくな発言権がなかったものの、だからといって意見を持っていなかったわけじゃないということも理由かもしれないわね」と答えた。そんな部分に観客は共感し、今でも語り継がれるカンピオン監督の代表作となったのだろう。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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