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『ゆきゆきて、神軍』と今村昌平!原一男監督が語る

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『ゆきゆきて、神軍』の原一男監督

 「昭和天皇パチンコ狙撃事件」などで知られるアナーキストの奥崎謙三氏を追ったドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、神軍』が11日、日本大学芸術学部映画学科の学生たちが開催している映画祭「映画と天皇」内の一本として上映され、トークゲストとして来場していた原一男監督が本作を撮ることになった経緯などを語った。

【写真】過激!映画『ゆきゆきて、神軍』

 原監督の代表作である『ゆきゆきて、神軍』は、1987年に渋谷ユーロスペースで公開され、26週間にわたるロングランヒットを記録。同館の歴代興行収入ナンバーワン作品として、いまだにその記録を破る作品は登場しておらず、ミニシアター界の金字塔的作品ともいえる1本である。

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 本作には『復讐するは我にあり』などの鬼才・今村昌平監督の名前が「企画」にクレジットされている。その経緯について原監督は「奥崎さんが(昭和天皇パチンコ狙撃事件の)裁判をやっていた時に、その事件を知った若い女性の週刊誌記者が、その背景にある現実はとても大きな意味があると思い、今村さんに『映画にしませんか』と言ったのがきっけだったそうです」と説明する。

 そこで奥崎氏を題材にした映画の製作を決意した今村監督はなんと、法廷にカメラを持ち込むことを決意し、当時ニュース専用に使用されていたゼンマイ式のフィルムカメラを用意。そのカメラはシンプルな構造ゆえに分解してポケットに入れることが可能であり、裁判開始前にトイレでもう一度組み立て直したカメラマンが、カメラを法廷に持ち込んだ。

 そしてほかのスタッフが「裁判長、異議あり!」などと騒いでいるうちにゲリラ的に奥崎氏を撮影する、というのが作戦の全容だった。「ただ、ゼンマイだからスイッチを入れたらものすごい音がして……。すぐに裁判官にバレてしまい、あっという間に退廷させられたそうです」と昭和の時代らしい、豪快なエピソードを紹介する原監督。その後も今村監督は執念深く奥崎氏を追い続け、テレビ局などにも企画を出していたというが、過激な行動で知られた奥崎氏の企画を通すテレビ局があるはずもなく、今村監督の作品として実現することはなかった。

 それから10年ほどたったのち、今村監督の映画『ええじゃないか』にスタッフとして参加していた原監督が、今村監督から「面白い人物がいるんで撮ってみるかい?」と奥崎氏を紹介されたことから、『ゆきゆきて、神軍』の企画が再スタートした。

 原監督は、裁判所で今村組が撮影したとされる前述のフィルムを探し求めるべく関係者に聞きまわったそうだが、「どうやらカメラマンが臆病な人で。たった2、3秒なんだからまともに撮ればいいのに、残っているフィルムには足元しか映っていなかったらしい」とのこと。結局その映像を『ゆきゆきて、神軍』本編に使用することはかなわなかった。

 その後も「怪物」奥崎謙三氏の破天荒なエピソードの数々に会場は沸き、最終的には原監督が「20分のトーク時間では足りない! この深い話を語り尽くすために、以前のトークショーでは3時間半かかりましたからね」とアピール。本映画祭を大いに盛り上げていた。

 日本大学芸術学部の学生たちが企画したこの映画祭のテーマは「映画と天皇」。『太陽』『軍旗はためく下に』『日本のいちばん長い日』など、天皇の姿が描かれた重厚な作品が上映され、トークイベントなどを通じて、歴代の映画人たちが天皇といかにして向き合ってきたのかを再検証する機会となる。今月15日まで渋谷ユーロスペースにて開催されている。(取材・文:壬生智裕)

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