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池松壮亮、20代でやってきたことの答えが見つかった

池松壮亮
池松壮亮 - 写真:奥山智明

 ベネチア国際映画祭に初参加を果たした池松壮亮が、憧れの塚本晋也と初タッグを組んだ『斬、』を振り返り、自分が歩んできた俳優人生について述懐した。

唯一無二の存在感!池松壮亮インタビューカット

 塚本監督初の時代劇で、人を斬ることに疑問を感じている浪人、杢之進を演じている池松。20代の日々に思いを馳せながら、今回敬愛する塚本監督作品に初めて参加したことで「自分が探していたものの答えがようやく見つかった気がする」と目を輝かせる。

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 池松が組むのは作家性の強い監督が多い。近作だけでも、『君が君で君だ』の松居大悟監督、ドラマ「宮本から君へ」の真利子哲也監督など。しかも、演じるキャラクターは純粋すぎて、うまく立ち回れない人間だ。彼自身もそうなのだろうか。

 「職業は俳優ですけど、ご飯を食べていくということに関していえば、割と間違った方向に進んでいることは自覚しています。僕はどうしても、映画の先に人を見てしまう。そこには人の生活、社会、時代、世界がある。傲慢に聞こえるかもしれないけど、そこに訴えかける意味、価値が映画にはあると思っています」

池松壮亮

 「映画は何かを伝えるツールでなければならない」と信じ、映画でできること、映画でしかできないことを徹底的に自問自答してきた池松にとって、時代劇は「設定、ストーリー、シーン、シチュエーション、そういうものが先走りすぎているものが多すぎる気がしていた」という。この役は本当に自分がやるべきなのか。自分がやらなくてもきっと誰かがやるだろうと思っていた池松だったが、『斬、』の杢之進と出会った。

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 「普段は役をいただいても、自分にしかやれないとは思いません。でも、この役は違った。この映画が発しようとしている思い、エネルギーみたいなものを自分こそ体現できるんじゃないかと思ったんです」

 今回に限らず、池松自身、常日頃から自分を取り巻く環境、世界について、考えをめぐらしてきた。

 「自分の終わりが世界の終わりだと思っている人間には想像もつかないようなところに杢之進は達しています。現在を見つめ、過去を見つめ、さらに未来を見つめないとあそこまでにはなれないと思う」

 「映画」に執着する池松は「刀」に執着する杢之進のことを誰より理解できたという。

 「作品との巡り合わせは時代のうごめきというか、そういうものに引っ張られているような気がします。今回のような奇跡みたいなマッチングも時折、ありますが、これからも僕は悩みながら、迷いながら、やっていくしかありません」

 池松は映画のなかで、生き様を突き付け、問いかけてくる。その圧倒的な熱量は彼が命をかけて、思いを吹き込むからこそ生まれるもの。誰かが本気で何かを伝えたい時、人は本気で耳を傾ける。『斬、』へ送られた、ベネチアでの5分間のスタンディングオベーションがそれを物語っている。(高山亜紀)

映画『斬、』は11月24日より全国公開

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