『スパイダーバース』マンネリを打破して成功!リスクを取った作り手たち

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ディズニー作品が並ぶなか、見事オスカーを手にした『スパイダーマン:スパイダーバース』

 第91回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』。実写やコミックでおなじみのヒーローを、全く新たな映像表現で描いた本作は、今後のハリウッドにおけるアニメ制作に多大な影響を与えると言っても過言ではない。この野心的な作品を成功に導いた3人の監督とプロデューサーたちに、アカデミー賞本番直前に話を聞いた。

【動画】『スパイダーマン:スパイダーバース』予告編

 下馬評ではすでに受賞が確実視されていた『スパイダーバース』。だが、会場で話を聞いた監督のボブ・ペルシケッティピーター・ラムジーロドニー・ロスマンは、この数年間、自分たちがオスカーに関わることになるとは全く思わず映画作りに没頭してきたと明かした。「毎年アカデミー賞は見ていたし、そこに行くことを夢見てきた。でも、ある時点から、そういうことは起きないと思ったんだよ。『どうしてそんなことが起こりうるんだ?』って感じ。ただ、みんなで作っている映画をとても誇りに思っていた。そして、夢が実現したのさ」(ロスマン)

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ピーター・ラムジー(左)、ロドニー・ロスマン(中央)、ボブ・ペレシケッティ(右)「これは、自分だけだと思って、辛い時間を過ごしていたら、他にも自分と同じような人がたくさんいることを発見する若者についての映画なんだ」(ラムジー)

 作品の高評価について監督たちは、斬新な映像スタイルだけでなく、黒人の少年マイルスを主人公に、彼と警察官の父との絆を描いた人間ドラマが、観客の心に響いたのではないかと分析していた。

 ペルシケッティが「映画が世に出てみると、多くの観客が、この映画は自分のためだけに作られたものだと感じてくれた。とても感動したよ」と振り返ると、ラムジーも「映画を良いものにすることや、仕上げることに集中している時は、観客がどう反応するかなんて全くわからない。だから、観客の反応には本当に圧倒されたよ」と明かす。

 監督作である『LEGO(R)ムービー』(2014)でもアニメ界に新風を吹き込んだ、プロデューサーのフィル・ロードクリストファー・ミラーは、『スパイダーバース』をオファーされた時、「ピーター・パーカーではなく、マイルスのストーリーを語ること、クレイジーなビジュアルの作品をやれるなら引き受ける」と言ったそうだ。

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 「僕らは、喜んでリスクが大きい方法をとる。自分たちが正しいのか間違っているかを確かめるためにね。そして今回は、多くの共犯者がいた。何百人っていうクレイジーな人々が一生懸命働いてくれなければ、こういう作品は生まれなかったよ」(ロード)、「全ての部門が、『いつもこうしている』じゃなくて、『こうしたら興味深くない? クールじゃない?』と考えながら制作することが、僕らのゴールだった。たった1人のビジョンやアイデアじゃない。誰もがトライすることできたんだ。だからこそ、この映画がとてもユニークなものに感じられるんだ」(ミラー)

フィル・ロード(左)&クリス・ミラー(右)「他の人が受賞したら、自分がその人に向かって笑いながら拍手しているところをリハーサルしているんだ(笑)。でもそれをしないですむことになったらとてもラッキーだよ」(ロード)

 またミラーによると、本作は音楽の分野でも、これまでにない試みに作曲家のダニエル・ペンバートンが挑戦していたという。「80人規模のオーケストラで録音した音楽をレコードにして、DJにスクラッチさせたりしていた。彼もすごくクリエイティブなんだ」

 ペルシケッティは、日本の観客に「みんながマイルスという新しい友達を作るのを楽しみにしてくれるのを願っているよ」とメッセージ。「僕たちにとって、とても大切なティーンエイジャーの少年と、みんなの心がつながってくれれば嬉しいよ」(取材・文:細谷佳史 吉川優子/写真:細谷佳史)

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