吉岡秀隆『Fukushima 50』で暗闇の中の芝居 佐藤浩市が救いに

左から若松節朗監督、佐藤浩市、吉岡秀隆
左から若松節朗監督、佐藤浩市、吉岡秀隆

 福島第一原発事故を描いた映画『Fukushima 50』(3月6日公開)特別試写会が4日に都内で行われ、佐藤浩市吉岡秀隆若松節朗監督が登壇。福島第一原子力発電所に残った作業員にふんした佐藤、吉岡が、作品のメイン舞台ともなった中央制御室での暗闇の中での芝居を振り返るとともに、本作への真摯な思いを語った。

【動画】『Fukushima 50』予告編(注意:津波のシーンがあります)

 本作は門田隆将(かどたりゅうしょう)のノンフィクション「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」を基に、東日本大震災による福島第一原発事故発生以降も現場にとどまった作業員たちを描いたドラマ。メルトダウン(炉心溶融)の危機が迫る中、福島第一原発1・2号機当直長の伊崎利夫(佐藤)、現場の指揮を執る所長の吉田昌郎(渡辺謙)らが、未曽有の大事故に立ち向かう姿を追う。『沈まぬ太陽』(2009)、『空母いぶき』(2019)などの若松節朗がメガホンをとった。

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 主演の佐藤は「僕らはあの状況下にあったのに、あまりに知らないことが多すぎたと改めて今回勉強させていただきました。その中で、そこにいた人たちが『なぜ、何のために』というのを自問自答しながら演じてきました」と撮影を回顧。当時の作業員たちに思いを巡らせながら「現場にいた人間たちが、家族や故郷の肩越しに国を見たのか、国の肩越しに家族や故郷があったのか、どっちなのか。多分、みなそういう思いで現場に入りました。でも、撮影が始まって数日間でそんなことではないんだなと。どっちがどうだということではなく、そこにいないと意味がなかったんだということを切に感じて、そういう思いの中でやらさせていただきました」と役を通しての変化を明かした。

 撮影エピソードでは、作品のメイン舞台ともなった中央制御室での様子を紹介。中操とも呼ばれ、1号機原子炉建屋爆発の被害を受け過酷を極めた状況が描かれており、5・6号機当直長・前田拓実を演じた吉岡は佐藤の絶対的な存在感に助けられたという。「浩市さんがいてくれることがどれだけ現場で救いだったのかというのがありました。(電源が落ち)暗闇の中の芝居でみな防護服を着ていると、誰が誰だかわからないんですよね。ただ、浩市さんは浩市さんのシルエットというか、いてくださるだけで緊迫したシーンでも浩市さんの顔をマスク越しに見ていた気がします」

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 若松監督の意図により、作業員たちがやつれていく姿をリアルに映し出すため、撮影は順撮りで行われた。吉岡が「(撮影が)終わってようやくスタジオから外に出て、みんなマスクを取った時に『お互い老けたな』って言いました。みんな痩せこけてしまっていて」と振り返ると、佐藤も「日々みんなの顔がやつれていくのがわかって、それが何とも言えなかったです」と続けた。

 終盤には、佐藤が劇中で津波のシーンが描かれていることに触れ、「リアルタイムで経験された方、ニュース映像でしか見ていない方々、10年後、20年後にこういうことがあったと忘れないために、そういうシーンが入っています」と説明。福島で先行上映した際には「怖かった」と不安もあったことも明かしつつ、「災害の爪痕、それを負の遺産のままで終わらせるのか、それとも少しだけ人間の努力で遺産に変えて明日明後日にバトンを渡せるか、それは我々人間だけができることです」と真摯に語った。(取材・文:中村好伸)

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