透明人間は実現できるのか?新作映画の現代的アプローチ

いるの? いないの? 誰もが一度はなりたい『透明人間』
いるの? いないの? 誰もが一度はなりたい『透明人間』 - (C) 2020 Universal Pictures

 透明人間の恐怖にさらされる女性を描いたサスペンススリラー『透明人間』が、先週から日本公開されている。1933年に発表された古典ホラーのアップデート版ともいえる本作では、誰もが一度は夢想したであろう、体を透明化するアプローチも現代化が図られている。(以下、映画の内容に触れています)

【ネタバレ注意】透明人間の姿が!『透明人間』本編映像

 H・G・ウェルズの同名小説が原作の1933年版では、透明化の秘密をつきとめた科学者が新薬を注射することで透明人間になった。ポール・バーホーベン監督の『インビジブル』(2000)でも同様のアプローチが用いられ、透明から元に戻ることが難しいという設定が物語のフックになっていた。また、H・F・セイントの原作をジョン・カーペンター監督が映画化した1992年版では、放射線の事故で服ごと透明になる主人公が描かれた。

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透明人間にどう立ち向かうのか?(C) 2020 Universal Pictures

 そして、映画『ソウ』シリーズのクリエイターでもあるリー・ワネル監督が手掛けた2020年の『透明人間』。本作では、現代版らしく、光学技術に基づいたアイデアが採用された。プロダクション・デザインを手掛けたアレックス・ホームズによると、すでに不可視化の技術は現実に存在している。透明にしたい対象物の周辺の光を屈折させ、光が反射するのを防ぐことで人に見えなくなるというものだそうだが、それでは映画的ではないということで、本作での採用は見送られた。

 そこで考えられたのが、今やビデオゲームなどでおなじみのステルススーツのアイデア。劇中でヒロインを執拗につけ狙う科学者・エイドリアンが着用するスーツは、全身が何百ものカメラで覆われ、そのカメラが撮影した周辺の映像をホログラムで前側に映し出すことで周囲に溶け込む。全身にカメラが設置されたスーツは、まるでマーベルヒーローのようであり、現実を超越したオーバーテクノロジーで作られているように思えるが、制作にあたってアドバイスを求めたCSIRO(オーストラリア連邦科学産業研究機構)などの専門家からは、開発に20年はかかるが「理論上は可能」と言われたという。

 このように、奇想天外な設定でありながらリアリティーが重視された本作。オリジナル版では透明化の副作用で凶暴化していた科学者も、ソシオパスで虐待的な富裕層として描かれており、そんなモラハラ男の支配から逃げようともがくヒロインを主人公とすることで、名作クラシックとは全く違った現代的な恐怖を演出している。(編集部・入倉功一)

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