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アニメ「鬼滅の刃」制作の裏側!プロデューサーが語る真摯な情熱

『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』より
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』より

 吾峠呼世晴の漫画「鬼滅の刃」の累計発行部数が1億部を突破。2019年4月よりスタートしたテレビアニメも人気を博すなど、幅広い世代から注目されている。テレビアニメを手がけるアニプレックスの高橋祐馬プロデューサーは「まず原作がものすごく面白い」と口火を切り、「一歩一歩、積み重ねてきたことが、今につながった」と語る。大ヒットの裏側には、どのような施策や熱意が込められているのか。高橋プロデューサーに話を聞いた。

劇場版「鬼滅の刃」キャラ一覧【画像】

劇場版『無限列車編』への手応え

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
(C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 家族を鬼に殺された少年・炭治郎が、鬼に変貌した妹を人間に戻すために鬼殺隊に入り、“鬼狩り”の道を進む姿を描く本作。テレビシアニメから続く物語で、原作ファンからも人気の高いエピソードを映画化した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』が、10月16日から公開となる。

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 『無限列車編』をテレビアニメではなく、劇場版として制作した理由について、高橋は「テレビアニメの制作中は、スタッフたちと『機会があれば続きも作りたいね』という話をしていました。そんな中、毎週放送していくにつれて、多くの方に楽しんでいただいているなということを感じました」とファンの広がりを感じ、「また原作の『無限列車編』はテレビアニメとして1クールでやるには少し足りないかなという分量でもあり、ドラマ性の面で考えても、映画という形で観ていただくことが作品を最も魅力的にできるのではないかと考えました」と最良の選択として決断したという。

 テレビアニメに引き続き、アニメーション制作をufotableが担当。その映像のクオリティの高さはファンから熱い支持を集めている。「彼らはテレビアニメだから、映画だからとフォーマットで作り方を変えることはありません。その時にできる自分たちのベストを尽くして、作品に臨むというスタンスです。今回も今できる全てを詰め込み、皆さんに楽しんでいただける映像になると思っています」と絶大な信頼を寄せる。

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編
『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』より - (C) 吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 そして、『無限列車編』で鍵を握るキャラクターとなる煉獄杏寿郎役の声優・日野聡についても、「炭治郎たちにとって頼れる兄貴のような存在であり、鬼殺隊にとって絶対的な“柱”である煉獄というキャラクターを優しさと強さを持って表現してくれました。すばらしかったです」と賛辞を惜しまない。

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ufotableとタッグを組んだワケ

 これまでも高橋は、『劇場版 空の境界』シリーズや『劇場版「Fate / stay night [Heaven's Feel]』シリーズなど数々の作品でufotableとタッグを組んできた。『鬼滅の刃』の原作を読んで大いに魅了されたという高橋だが、アニメ化のパートナーとしてufotableに声をかけたワケは「僕も漫画のいち読者で、視聴者としても、ufotableさんが作る『鬼滅の刃』を観てみたかった」とニッコリ。「彼らの特徴の一つとして、バトルの映像表現、そして明暗の描き方のすばらしさというものがあると思います。『鬼滅の刃』では、“昼の明るさのある描写”と“夜の鬼との戦い”の強弱を魅力的に描けると思っていました」。

 テレビアニメ第1話から原作とufotableの相性の良さを実感したそうで、「『鬼滅の刃』の大きな魅力である明暗のメリハリが凝縮されているのが1話。炭治郎の家族の幸せを印象的に描き、一方で家族との別れは非常に鋭い描写で表現していました。また、4話で炭治郎が初めて水の呼吸を使うシーンでは、完成した映像の凄さに素直にびっくりしましたね。『ありがとう、ufotable』と手を合わせたくなりました」とファン目線で熱弁する。

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ヒットの裏にあった施策とは

 “令和初の国民的大ヒット作”と言われるまで成長した本シリーズ。高橋は「普通はテレビアニメって、回を追うごとに配信の再生数が少しずつ下がっていくものなんです。でも『鬼滅の刃』は逆に上がっていった。グッズの商品化のお問い合わせも、話数を重ねるごとに少しずつ増えていった」とじわじわと人気が浸透していくのを肌で感じたという。「僕たちは社会現象なんて大それたものとは思っていなくて、徐々に輪が広がっていった印象です。大前提として、原作の漫画がものすごく面白い。そしてその魅力を表現できるように、ufotableさんがすばらしいアニメーションを作ってくれました。その両方が複合的、有機的に絡み合ってヒットにつながった」と分析しつつ、ヒットの特色として「自分たちが思っていた以上に、幅広い世代の方に楽しんでいただいている」と語る。

 『鬼滅の刃』には「週刊少年ジャンプの作品らしい“王道感”と共に、見たことのないバトルや単なる勧善懲悪ではない物語など、“新鋭的”な魅力がある」というが、「テレビアニメは、全26話として観やすいものになっていた」ことも、幅広い層に響いた理由だと考えているそう。「例えば1話は家族との別れ、3話は修業、4話は最終選別など、テレビアニメとして“この回はなにを楽しむエピソードなのか”ということが、どの年齢の方にとってもわかりやすく、観やすいものになっていた。脚本や絵コンテの段階で、ufotableさんがかなり緻密に組み立てを考えてくださいました」

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 アニプレックスの名物宣伝マンとして、これまでも数々のヒット作を手がけてきた高橋。宣伝をする上では、「作品ごとに、この子は足が速い、この子は勉強ができるなど、個性が違う。その個性を見極めることが大事」とそれぞれ違った施策が必要になると話すが、では『鬼滅の刃』で打ち出した施策とは?

 「やはり王道感のある作品なので、あまり奇をてらったことをしようとは思いませんでした。今の時代で大切なことは、“リアルタイム性”と“後発性”。例えば『半沢直樹』もリアルタイムで観て、Twitterなどで視聴者が盛り上がりましたよね。さらにリアルタイムの波だけでなく、その話題を知った人が配信などで後から観られる環境を作ることも重要。それが後発性、第二の盛り上がりの波が後から発生する、ということです。『鬼滅の刃』では、リアルタイム性のために、新しい鬼のキャストを発表したり、新しい映像を見せたりと、次の放送が楽しみになるような話題を2クールの中で出し続けました。また後発性のためには、配信のまとめ放送のようなものを定期的に行っています。作品の存在や熱に後から気づいても、誰でもその輪に入れるような環境を作り、常に『鬼滅の刃』を楽しんでもらえるようにできたらいいなと思っていました」と地道なことをコツコツ積み重ねてきたからこそ、大ヒットにつながっているようだ。

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「ファンに真摯に」掲げるモットー

 プロデューサーとして心がけているのは、「ファンに真摯であること」と高橋。「宣伝マンとしてお客さんと近い場所で接してきたからこそ、そういった思いが芽生えました。もちろん面白い施策を打ち出したり、攻めたりすることも必要ですが、ufotableさんもひたむきに作品に向かっていますので、それをお預かりする僕らもファンの方々には真摯でひたむきな姿勢で発信していきたい。ufotableさんとご一緒した『空の境界』や『Fate』も、たくさんのファンの方に求めていただけた作品です。ufotableさんの仕事ぶりを見ながら、自分も襟を正して作品に向かいたいと学んできました。それが今につながっています」(取材・文:成田おり枝)

※煉獄杏寿郎の「煉」は「火+東」が正式表記

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