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神木隆之介、声の出演に厳しい自己評価「壁にぶち当たりに行く感じ」

神木隆之介、自身を変えた母の言葉とは 映画『100日間生きたワニ』インタビュー » 動画の詳細

 実力派俳優として数多くの映画やドラマに出演する一方、『千と千尋の神隠し』(2001)や『ハウルの動く城』(2004)などのジブリ作品や、細田守監督『サマーウォーズ』(2009)、新海誠監督『君の名は。』(2016)などの映画で声の芝居にも定評がある神木隆之介。7月9日公開のアニメーション映画『100日間生きたワニ』では、主人公のワニの声を務めるなど、近年も精力的に声の出演も行っている神木だが、そこには声優という仕事に対してのリスペクトが強いからこそのジレンマがあるようだ。

インタビュー動画

たった一つの情報で見方がガラリと変わる原作の面白さ

『100日間生きたワニ』より(C) 2021「100日間生きたワニ」製作委員会

 映画『100日間生きたワニ』は、漫画家・イラストレーターのきくちゆうきがSNSで100日間にわたって投稿した4コマ漫画「100日後に死ぬワニ」をアニメ映画化した作品。神木演じる主人公のワニが生きた何気ない日常や、ワニがいなくなった後の、ワニの仲間たちの姿を描いている。『カメラを止めるな!』などの上田慎一郎監督とアニメーション監督としても活躍するふくだみゆき夫妻が監督・脚本を務めた。

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 映画化決定の前から漫画を観ていたという神木は、この物語の視点の面白さに興味を持っていたという。「作品を観ている人は、ワニが100日後に死ぬことが分かっているので、何気なく一日を過ごしてしまうワニに対して『何そんなことやってるの! あと何日しか生きられないのに……』とやきもきするじゃないですか。でもワニ本人は自分が死ぬなんて想像もしていないから、ひたすら普通の日常を過ごすんですよね。たった一つ『何日後に死ぬ』という情報を得ただけで、見方がガラリと変わるという仕組みがすごく面白いと思っていたんです」

ネズミ(声:中村倫也)、モグラ(木村昴)と (C) 2021「100日間生きたワニ」製作委員会

 そんな題材を映画というメディアで表現したら、もっと違った角度で気づきがあるのでは……と感じた神木は、出演オファーを快諾した。

 神木が演じるのは、ネズミ(声:中村倫也)や、モグラ(声:木村昴)たち仲間との他愛もない日常を過ごすワニ。100日後に命を落とす運命にあるが、前述したようにワニはそれを知らないため「とにかく明るく楽しくのんびりと、そんな空気で周囲を包み込めるようになればいいなと思って演じました」とアプローチ方法を語る。

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声の仕事は「壁にぶち当たりにいく感じ」

何気ない日常が愛おしく描かれる (C) 2021「100日間生きたワニ」製作委員会

 神木の言葉通り、劇中のワニは良い意味で肩の力が抜けた雰囲気をにじませるが、一方で周囲を巻き込む力を感じさせる。素朴でありながら、奥行きのあるワニを好演している。

 しかし神木の自己評価はからいもの。「作品をご一緒した声優さんたちが褒めてくださることもあるのですが……」と前置きすると「でもアニメオタクとしては、どれほど良い声を持っていたとしても、やはり技術が伴ってこそではないかと思うんです。僕も声優さんの発声の仕方などは学んでいないので下手なんです。いつも『もっと向上していきたい』と思う部分があります」と苦笑い。

 「アニメオタク」というキーワード。声優に対するリスペクトも、自身に厳しい要因となっている。神木は「好きだから分かるんですよね」としみじみ語ると「好きな漫画とかライトノベルって、自分の頭のなかで、登場人物がどんな声なのかを想像するし、誰々にやってもらいたいというのも自然と思い浮かんでいく。そこでもし、本業ではない人が担当すると聞いたら、不安というか、胸がザワザワする気持ちは分かるんです」とファンの心理に思いを巡らせる。

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 だからこそ、自身が声優を務めることをプレッシャーにも感じ「自分でいいのかな」という思いにも駆られるという。それでも、神木が声の仕事に挑戦し続ける理由を問うと「壁にぶち当たりにいく感じですかね」と笑う。続けて「アニメが大好きだからやらせていただきたい思いと、自分の実力のなさを痛感する気持ち……本当に複雑なんです。もっと勉強したいです」と吐露する。

 葛藤のなか挑む声の出演だが「今回に関しては、ワニというのが4コマ漫画でしか表現されていない状況だったので、誰も声のイメージはなかったと思うんです。そういった意味では少し自由度も増しますし、少し気が楽でした」と語った。

失敗を恐れなくなったのは母の言葉がきっかけ

 「壁にぶち当たりにいく」という精神は神木の現在のライフワークになっているという。

 「25歳ぐらいのとき、ある作品でものすごくプレッシャーを感じてしまい、心が窮屈になって、気持ちが苦しくなったんです」と語った神木。俳優という仕事を今後も続けていけるのか……疑問に思ったというが、そんなとき母親から「仕事をしていてもしていなくても、息子であることは変わらないのだから、楽しく生きていてくれれば、それが一番嬉しい」と声を掛けられ、この言葉で「失敗したら辞めればいいんだ」と開き直れた。「せっかくこの世界にいるんだから、やりたいことはどんどん挑戦して、ダメだったら違うことをやろうって思うようになったんです。そうしたら気が楽になりましたし、失敗も怖くなくなりました」と視野が広がった。

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 現在28歳の神木。「とても楽しく仕事ができています」と目を輝かせると「今後もどんどんやりたいなと思ったことをやってみたいです。この間までドラマ(「コントが始まる」)で菅田将暉くんや仲野太賀くんと一緒だったのですが、彼らもいろいろな挑戦をしていますよね。僕も……例えば、歌もやってみたいです。菅田くんが歌っている後ろで、featuring(フィーチャリング)神木隆之介みたいな」とニヤリ。

 2021年は、本作のほかにもテレビアニメ「アニ×パラ~あなたのヒーローは誰ですか~」、ドラマ「おじさまと猫」など声の仕事が続いているが「もっともっと学んで、技術を身につけたいです。それで、少女漫画のモテキャラのような声を習得して、ひたすらモテる役をやってみたいです」と野望を語っていた。(取材・文・撮影:磯部正和)

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