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ブルース・ウィリスはなぜ愛されるのか 引退が惜しまれる唯一無二のキャリアと魅力

マクレーンの勇姿をもう一度観たかった…『ダイ・ハード』のブルース・ウィリス
マクレーンの勇姿をもう一度観たかった…『ダイ・ハード』のブルース・ウィリス - Twentieth Century Fox Film Corporation / Photofest / ゲッティ イメージズ

 長年、ハリウッドのトップに君臨してきたスターが突然、引退を宣言する……。失語症を原因に、ブルース・ウィリスが一線を退くというニュースは、世界中の映画ファンに衝撃と悲しみを与えた。ブルースがいかに観客の心をつかみ、愛されたのか。あらためてそのキャリアと俳優としての魅力を振り返ってみたい。

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 1955年、西ドイツ(当時)の米軍基地で生まれ、すぐにアメリカへ移住。高校で演劇にめざめたブルースは、ニューヨークでオフ・ブロードウェイの舞台を経験し、バーテンダーなどの仕事をしながら俳優としてのキャリアアップを目指したという。

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 初めて注目を浴びた作品には、ブルースの親しみやすい魅力が凝縮されていた。1985年にスタートしたテレビシリーズ「こちらブルームーン探偵社」。オーディションで主演コンビの一人、おしゃべりでお調子者の探偵役に抜てきされ、コメディ演技を軽やかにこなした。その勢いで1987年の映画『ブラインド・デート』でのキム・ベイシンガーの相手役を務め、翌1988年の『ダイ・ハード』の主人公、ジョン・マクレーン役で大ブレイクする。

 当初、このマクレーン役は、アクション映画のトップスターだったアーノルド・シュワルツェネッガーシルヴェスター・スタローンなどにオファーされたが、彼らが断ったため、ブルースに回ってきた。ジョン・マクレーンは刑事としての能力は長けているものの、私生活や職場で問題を抱える役どころ。そんな彼が、テロリストが仕掛ける凶悪犯罪に単身で挑む設定なので、スーパーヒーロー的な活躍ではなく、弱さや屈折感、ユーモアも必要。そこにブルースの雰囲気がマッチし、ひたすら攻防に感情移入させることに成功した。

 『ダイ・ハード』はシリーズ化され、アクションスターとして揺るぎない地位を確立したブルース。『ラスト・ボーイスカウト』(1991)など正統派アクション大作から、『ハドソン・ホーク』(1991)といったコミカルさも加味した作品、『永遠(とわ)に美しく…』(1992)のように完璧なコメディまで話題作が途切れなかった。そのスターバリューを最高レベルで示したのが『アルマゲドン』(1998)で、日本でも興行収入135億円というメガヒット。主演としての責任を果たした。(数字は興行通信社調べ)

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『シックス・センス』よりアクションだけじゃない、作品選びにもセンスが光ったBuena Vista / Photofest / ゲッティ イメージズ

 ブルースが多くの映画ファンに愛されたのは、ブロックバスター作品だけでなく、強烈な個性や独創性にあふれた監督の作品で存在感を示したから。クエンティン・タランティーノ監督の『パルプ・フィクション』(1994)では落ち目のボクサーの哀感もにじませ、テリー・ギリアム監督の『12モンキーズ』(1995)やリュック・ベッソン監督の『フィフス・エレメント』(1997)では奇抜なSF世界に人間くささを与える役回りにハマった。極めつけはM・ナイト・シャマラン監督作で、『シックス・センス』(1999)、『アンブレイカブル』(2000)では、ともに特殊な秘密や能力を抱えながら、それを周囲や、映画を観る者に感づかせないというハードルの高いチャレンジを達成。シャマランらしいドンデン返しを知ってから観直せば、ブルースの深すぎる演技に驚かされる。『アンブレイカブル』のデヴィッド役は『スプリット』(2017)、『ミスター・ガラス』(2018)と最近まで受け継がれ、ジョン・マクレーン役とともにブルースの俳優人生を重ねて観る楽しみもある。

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 近年は『RED/レッド』(2010)とその続編『REDリターンズ』(2013)などアクション大作でも存在感を発揮しつつ、たとえば壮絶な復讐劇に身を投じる男を演じた『デス・ウィッシュ』(2018)など、ブルースだからこそ過激な怒りに感情が伴うという、彼ならではの持ち味を実感させてくれた。

 ミュージシャンとしても活躍し、映画の来日キャンペーン中に六本木のライヴハウスで歌った“伝説”も残されているし、髪が薄くなった頭部をそのままスキンヘッドの魅力に変換した潔さとともに、年齢を重ねても、どこか茶目っ気が漂うスターだった。

 2013年に5作目(『ダイ・ハード/ラスト・デイ』)まで作られた『ダイ・ハード』の6作目は、今回の引退発表前に頓挫していたが、マクレーンの勇姿をもう一度観たかったファンも多いはず。映画界復帰の願いが叶いそうにないのは、つくづく残念だ。(斉藤博昭)

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