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「鎌倉殿の13人」トウ役・山本千尋、梶原善との「生涯忘れない」ひととき

第33回「修善寺」より山本千尋演じるトウ
第33回「修善寺」より山本千尋演じるトウ - (C)NHK

 小栗旬主演、三谷幸喜脚本の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK総合ほか)で、殺しなど裏の仕事を請け負うトウを演じる山本千尋が、梶原善演じる育ての親である善児への思いや、梶原との共演について語った(※ネタバレあり。第33回の詳細に触れています)。

【画像】山本千尋・トウの初登場シーン

 本作は、野心とは無縁だった伊豆の若武者・北条義時(小栗)が鎌倉幕府初代将軍・源頼朝にすべてを学んだのち、武士の世を盤石にした二代執権に上り詰めていく物語。山本が演じるトウは、7月31日放送の第29話から登場。架空のキャラクターであるトウについて判明しているのは、伊東祐親(浅野和之)の元下人で主に汚れ仕事を引き受ける善児に育てられた孤児という設定のみだった。現在は善児と共に北条家に仕えており、8月14日放送の第31回では北条と対立した比企能員(佐藤二朗)の娘で、頼家の側室せつ(山谷花純)を殺害した。

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 謎に包まれていたトウだったが、28日放送の第33回「修善寺」では善児がトウの両親を殺害した仇だったことが明かされ、トウが善児に刃を向ける衝撃的な展開を迎えた。源頼家(金子大地)によって深手を負った善児を、「ずっとこの時を待っていた……」と背後から襲ったトウ。この場面でのトウの心理について、山本は「善児に復讐したわけですが、そこには葛藤があったと思います。きっと復讐したくない自分もいたと思うんですよね。善児には育ててもらった恩がある。だけど親の仇をとらなければならないという葛藤の末、けじめとして決意を下したのだと思います」と述懐する。

山本千尋演じるトウ初登場の第29回「ままならぬ玉」より

 トウの両親を殺害しながらトウは生かし、刺客として育て上げた善児。親の仇とわかっていながら彼なくしては生きられたかったトウ。山本は、二人の愛憎、複雑な関係に思いを巡らせる。

 「梶原さんがどう感じていらっしゃったのかはわからないですけど、台本のト書きを見る限り、善児もいずれこの日がくることをわかっていた、本望だったんじゃないかという気もして。トウにとっては、善児を殺したら自害するぐらいの覚悟だったと思うんです。だけど、生きる道を選んだということは、彼のためにも生きていかなければと思ったのではないか。けじめをつけたけれど、それ以上に根っこで抱えているふつふつと湧き上がるものがトウを生かしているのではないか、という気がします」

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 善児といえば、これまで伊東祐親、梶原景時(中村獅童)、北条義時と主人を変え、源頼朝(大泉洋)と八重(新垣結衣)の間に生まれた幼い千鶴丸、義時の兄・北条宗時(片岡愛之助)、八重の夫・江間次郎(芹澤興人)、頼朝の弟・源範頼(迫田孝也)らを次々と暗殺。元主人である祐親、その息子・祐清(竹財輝之助)までも手にかけた。彼が出没するところで血が流れるといった感で、ネット上では“アサシン善児”とのあだ名をつけられ、オープニングクレジットに彼の名があるとTwitterのタイムラインが彼の名で埋め尽くされるほど反響を呼んだ。そんな善児を演じる梶原善は、山本にとってどんな人物なのか?

 「(役との)ギャップすごいです。飄々とされていて、こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが、とてもおちゃめな方です(笑)。でも、お芝居ではピリッと締めてくださる。特に印象に残っているのが初対面の時です。梶原さんとリハーサルでは一度もお会いできなくて、クランクインの日に初めてメイク室でお会いして、緊張していたら気さくに話しかけてくださって。撮影の合間には他愛もない話で緊張をほぐしてくださって、撮影で私が悩んでいたり大事な時には手を差し伸べてくださるんです。佐藤二朗さんもそうですが、梶原さんがいてくださると現場がワッと明るくなるんですよね。大先輩にもかかわらず、皆さんにいじられていて(笑)。いつも『ありがとうございます、梶原さん』と心の中で思っていました」

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33回より善児(梶原善)とトウ(山本千尋)

 梶原と劇中さながらの“師弟関係”を育くんでいった山本。その梶原がクランクアップを迎えた日のことを、山本は「その時間は一生忘れないと思います」と語る。

 「大雨を降らすシーンで、梶原さんが寒さに震えていて。でも梶原さんのクランクアップの日だったのでわたしもハイテンションになっていて、二人でびしょぬれになりながら子供のようにはしゃいでいました。梶原さんは三谷さんの作品で常連の方ですが、山本耕史さんしかり“三谷ファミリー”にはそういう方が多い気がします。なので『鎌倉殿の13人』では、そういった意味でも自分は恵まれていると思います」

 中国武術を3歳から習い、数々の世界大会で優勝し、2014年公開の映画『太秦ライムライト』でベストアクション女優優秀賞を受賞。新世代のアクション女優として注目を浴びる山本。「鎌倉殿の13人」では俊敏な立ち回りも話題を呼んでいるが、初めて経験した大河ドラマの現場で圧倒されたのが、各分野のプロフェッショナルが作り上げたセットのクオリティーだったという。

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 「セットに入った瞬間、圧倒されました。雑草一つからして本当に職人技というか。トウが巻いている鉢巻も久しく洗っていなさそうな具合になっていて。なおかつ小栗さん演じる義時をはじめキャラクター一人ひとりが、ちゃんと年をとっていっているのを実感します。わたしが演じたトウは18歳からの登場で、小栗さんにもご相談させていただいたんですけど、一人の女性の人生を生き抜くことで考えることはたくさんあります」

 育ての親も失い、天涯孤独となったトウがこれからどこへ向かうのか? 過酷な人生を送ってきた彼女に救いはあるのか。その運命を見届けたい。(編集部・石井百合子)

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