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『沈黙のパレード』映画オリジナルシーンの裏側

草薙刑事(北村一輝)と湯川先生(福山雅治)
草薙刑事(北村一輝)と湯川先生(福山雅治) - (C)2022「沈黙のパレード」製作委員会

 東野圭吾の人気シリーズを福山雅治主演で連続ドラマ化した「ガリレオ」(2007・2013)の劇場版3弾となる『沈黙のパレード』(公開中)。本作では、福山演じる天才物理学者・湯川学の友人である草薙刑事(北村一輝)が9年ぶりに登場し、原作では描かれていない展開も描かれる。本シーンが誕生した裏側を、西谷弘監督が語った(※一部ネタバレあり)。

【画像】まるで別人な飯尾和樹の熱演も見もの

 『容疑者xの献身』(2008)、『真夏の方程式』(2013)に続く劇場版第3作で描かれるのは、数年前から行方不明になっていた女子学生(川床明日香)の死体遺棄事件。容疑者として浮上したのは、草薙がかつて担当した少女殺害事件で完全黙秘を貫き無罪となった男・蓮沼(村上淳)。蓮沼は今回も証拠不十分で釈放され遺族たちが暮らす町に堂々と現れるが、年に一度の夏祭りのパレードの日に謎の死を遂げる……。

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在りし日の女子学生(川床明日香)の歌唱シーン

 劇場版前2作に比べて顕著なのが、登場人物の数が膨大であること。女子学生の遺族、そして彼女が幼いころから見守ってきた町の人々に飯尾和樹戸田菜穂田口浩正岡山天音出口夏希吉田羊檀れい椎名桔平。誰にも蓮沼殺害の動機があり、犯人になりうる。その群像劇の中で、いかにメインキャラである湯川、内海(柴咲コウ)、草薙の9年ぶりの再会を描くのかが一つの課題となり、映画では在りし日の女子学生の歌唱シーンから始めることとなった。

 「映画化していくうえで誰もが思ったのは、今までにない登場人物の多さ、多彩さです。それゆえ、たくさんのエピソードの柱が立つ。この物語の核である湯川と草薙の友情にたどり着くには“何から始めるべきか”と悩みました。当初は、湯川たちの再会をどうドラマチックに描くかとシミュレーションも重ねましたが、やはり映画版は事件ありき。まずは被害者となる娘が町の人々からどれだけ愛されたのかを観客に植え付けたいと。彼女の歌声にのせて冒頭5分で表現しようと思いました。そして、湯川、内海、草薙のそれぞれの再会に関しては、ドラマを作るというよりも交わす視線だけで観客に高揚感を与えられたらと。むしろ、それが三人の流儀だと。福山さん、柴咲さん、北村さんだからできる表現でもありました」

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久々に集結!湯川、内海(柴咲コウ)、草薙

 登場人物の中でキーパーソンとして描かれるのが草薙だ。湯川の大学時代からの友人で数少ない理解者。湯川が警察に捜査協力するようになったのも、草薙と友人だったことがきっかけ。二人の若かりし日が描かれた2008年放送のスペシャルドラマ「ガリレオΦ(エピソードゼロ)」では、殺人の濡れ衣をきせられた草薙(佐野和真)を湯川(三浦春馬)が救った。草薙は穏やかな人物と言えるが、『沈黙のパレード』ではいまだかつてない一面を見せる。真実から逃避しようとする草薙に対し、湯川は「それでいいのか」と揺さぶり、草薙は湯川の胸倉をつかんで「もうしゃべるな」と凄む。

 「湯川と草薙の絆には、互いへの深いリスペクトがある。だから、相手のプライドを気遣いコネクトしづらかったりもする。そんな男たちを内海が引き寄せ、歩み寄らせる構図ですが、一度でいいから湯川と草薙をぶつけてみたいと思っていました。原作にメンタルな表現はあっても、映画ではフィジカルでも感じさせたいと。目撃者内海を含めた三人のシーンの構想を考えるときは、ワクワクしていましたね(笑)」

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西谷弘監督

 そのほか、冒頭、ファミレスで内海が捜査協力を突っぱねた湯川に「血も涙もない」とつぶやいたのちの掛け合いもオリジナル。随所に挿入された闇で蠢く町の人々の映像については、「あれは夏祭りのパレードの裏側に潜むもの、としてですかね。作品の心象風景といいますか、本でいうと表紙みたいなものです。この中の誰が犯人なのか、という振りにも繋げています」と明かした。

 なお、9年ぶりに復活する福山と柴咲コウによるユニット、KOH+による主題歌「ヒトツボシ」には、本編では描き切れなかった部分が描かれているという。(編集部・石井百合子)

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