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渋谷TOEIきょう閉館『バトル・ロワイアル』ラスト上映に深作健太「親父も天国で見ている」

『バトル・ロワイアル』深作欣二監督の写真を持つ片岡公生氏と深作健太氏
『バトル・ロワイアル』深作欣二監督の写真を持つ片岡公生氏と深作健太氏

 4日、営業最終日を迎えた東映株式会社の直営劇場・渋谷TOEIで「さよなら渋谷TOEI ラスト上映」が行われ、2000年に公開された深作欣二監督作品『バトル・ロワイアル』が上映された。壇上には、深作監督の息子で当時同作の脚本とプロデュースを担当した深作健太氏と、同じくプロデューサーとして参加した片岡公生氏が登壇し、渋谷TOEIの閉館を惜しんだ。

【動画】『バトル・ロワイアル3D』劇場上映中止となった予告編

 「渋谷TOEI」は1953年11月18日に渋谷宮益坂下の地に「渋谷東映」「渋谷東映地下」として新築開業。改称や建て替えなどを経て2004年に「渋谷TOEI1」「渋谷TOEI2」となり親しまれてきたが、この日の営業を最後に69年の歴史に幕を下ろした。今後は2023年初夏を目標に「Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下」として生まれ変わる。

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 最終日に上映された『バトル・ロワイアル』は、『仁義なき戦い』(1973)をはじめ東映とゆかりの深い深作監督の作品で、公開当時、東映の全国直営劇場の中で同館が興収1位を記録したことから上映作品として選ばれた。入場料はワンコインの500円で、オンラインにて前売りされたチケットは完売となった。

 この日の登壇について、健太氏は「(閉館のニュースを)ネットで見ていて、すごく寂しいなと思っていた時に、お声がけをいただいたんです。僕自身も客席でいろんな映画を観てきた思い出の映画館でもあるし、たくさんの先輩たちが舞台あいさつで立たれた場所でもある」と感慨深げにコメント。約20年を経た『バトル・ロワイアル』の上映に「お客さんが入るか不安だった」というが、満席の劇場を見回し「来ていただけて本当に嬉しい」と感謝。「親父が来年で没後20年になるそうです。早いものです。親父も天国で見ていると思います」と笑顔を見せた。

 健太氏はまた、『バトル・ロワイアル』について、「原作も賛否両論ある作品だったし、映画化の時は大変でした」と制作時を振り返り、「僕は当時27歳で、初めてプロデューサーをやらせていただいて、東映社内からもかなり反対があった。でも、亡くなった岡田裕介会長が当時営業部長で、無理くりこの企画を押し通してくれて、実現した作品でした」と回顧する。

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 さらに、深作監督の登用について「1990年代はお客さんがなかなか入らなかった。『深作欣二の作品で大丈夫か』と東映の中でも散々議論された」と社内で議論が交わされていたことも述懐しながら「『仁義なき戦い』もそうでしたが、深作欣二は絶えず若い方のために戦後の青春群像を撮ってきた監督。ひょっとしたら次が最後の作品になるかもしれないという中、『若い人が観る映画を作りたい』と70歳にして挑戦したのがこの映画でした」と当時の深作監督の心境を回顧。公開前日、深作監督は客入りを不安がってもいたといい、親子で車を飛ばして丸の内TOEIに様子を見に行ったという。

 健太氏は「公開前の日に劇場に並ぶという文化があった時代。丸の内TOEIをぐるっと若いお客さんが囲っているのを見て、嬉しそうにしていた親父の顔が今でも忘れられません」としみじみコメント。「『バトル・ロワイアル』のラストシーンは渋谷で終わります。若い方のいる渋谷の舞台に立ちたいということで、(深作欣二が)渋谷TOEIで舞台あいさつをさせてもらったというのも覚えています。大変思い出深いこの渋谷TOEIとお別れするのは複雑な心境です」と父の思い出を振り返りつつ、閉館を惜しんでいた。(取材・文:名鹿祥史)

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