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スケバン刑事から38年 南野陽子「仮面ライダー」出演で感じた東映特撮との縁

南野陽子、自身のルーツは東映特撮! - 撮影:高野広美
南野陽子、自身のルーツは東映特撮! - 撮影:高野広美

 現在放送中の特撮ドラマ「仮面ライダーガッチャード」(テレビ朝日系・毎週日曜午前9時~)に出演している女優・南野陽子。「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」(1985~1986)でブレイクし、「ナンノ」の愛称と共にアイドル歌手としても絶大な人気を博した彼女も、今や俳優としてベテランの地位を確立している。仮面ライダーガッチャードに変身する主人公・一ノ瀬宝太郎(本島純政)の母・一ノ瀬珠美役を務める南野がインタビューに応じ、自身の役柄や若手キャストとの共演、「ガッチャード」撮影の日々について語った。

【動画】「スケバン刑事II」から38年!南野陽子、東映特撮との縁を語る

念願叶った「仮面ライダー」お母さん役

「スケバン刑事」時代から感じていた、仮面ライダーとの縁

 取材をはじめて開口一番、「自分のルーツは東映の特撮作品」と語った南野。そのタイトルとは、自身の出世作「スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説」である。ジャンルとしての明確な線引きはさておき、当時、同時期の特撮ヒーロー作品と等しい感覚で「スケバン刑事II」を視聴していたファンも少なくなかったと思う。実際、巧みなカット割りとテンポのいい演出で、特撮ファンから注目を集めていたメイン監督の田中秀夫など、双方に関わったスタッフもいた。

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 南野は「全てが初めて、何もわからず飛び込んだ世界」と当時を振り返る。「私が演じた二代目麻宮サキ(五代陽子)のお父さん役は、仮面ライダーV3の宮内洋さんで、苦手なアクションをどうにか形にしてくださった(大野剣友会の)殺陣師の岡田勝さんは、初代『仮面ライダー』の、今で言うスーツアクターを務めた方だったんです」と当時から特撮作品との縁を少なからず感じていたという。

 そして月日は流れ、「仮面ライダーガッチャード」のオファーを受けた南野。「私も小さい頃、弟と一緒に仮面ライダーを観ていたし、いつか、仮面ライダーのお母さん役が来たらいいなと常々思っていました」とまさに念願叶っての出演となった。

エプロンに秘められた親子の絆

花柄のエプロンは本島純政が選んだもの! - (c)2023 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

 南野が演じる一ノ瀬珠美は、女手一つで定食屋を切り盛りしている宝太郎の母で、「令和の肝っ玉母さん」という役柄だ。古くからのテレビ視聴者なら、「渡る世間は鬼ばかり」(1990~2011)で知られる石井ふく子プロデュース、京塚昌子主演の昭和のホームドラマ「肝っ玉母さん」(1968~1972)を思い浮かべるかもしれないが、南野は「“肝っ玉母さん”と言うと、割烹着を着ているイメージですが、愛する息子が母の日に買ってくれたエプロンを付けたお母さんです」と親子の関係性を強調する。製作陣から、そうした珠美のイメージを伝えられた南野は、ある提案をしたそうだ。「私個人の要望として『息子役の方に、このエプロンを選んでもらっていいですか?』とお願いしたんです」

 劇中、珠美が身に付けているピンクの花柄のエプロンは、主演の本島が南野のために選んだものであり、親子を演じるお互いの距離感を縮めるための、実に粋な計らいとはいえないだろうか。南野自身、謙遜しつつも「いい親子関係ができているんじゃないかな」と手応えを感じていた。本島とは早い段階でLINE交換したそうで、「『今日はもう撮影が終わりました』とか、マメにメッセージをくれるんですよ」と嬉しそうに話す様子はまるで本当の母親のよう。日々の現場でも、撮影に取り組む新人の本島を温かく見守っているとのことだが、芝居について直接アドバイスをする機会などは特にはないという。

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 「そこは珠美が宝太郎を信じるように、私も本当に彼を信じて見守る。それだけでいいんじゃないかなと思います。私も若い頃、『スケバン刑事II』の現場でたくさんのアドバイスをいただきましたが、実はそれよりも、『大丈夫だから』『ちゃんとご飯食べてる?』『おはようございます』『お疲れ様』と何気ない言葉に気持ちをほぐされて、どんどん成長して行けた気がするんです。だから、ただ、同じ空間にいるだけ」と南野流のスタンスを明かした。

「ガッチャード」は現場のエネルギーが画として伝わる作品

セットにはヨーヨーも!制作陣の愛を感じながら撮影

 「スケバン刑事II」の頃はフィルムだった撮影だが、現在ではデジタルが主流になるなど、製作環境は当時とは大きく変わっている。奇しくも「ガッチャード」の撮影が行われている東映東京撮影所(通称「大泉」)は、今から38年前「スケバン刑事II」の撮影が行われた、まさにその場所だ。当時と現在、南野の目にはどのように映っているのだろうか。

 「東映の特撮ヒーロー作品は、若手俳優の登竜門と言われていますよね。実際、どのスタッフも若い役者を一人前に育てようと真剣に考えているのが伝わってきます。たとえば、セリフひとつとっても、今は意味が通じれば、それでOKを出す現場も多いですけど、たとえ時間がかかっても、取りこぼしが出ても、ひとつひとつのカットを丁寧に撮ろうとしていて、本当に素敵な現場だと思います。そこに関しては、私の時代から全く変わってないです」

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 また、珠美の主な登場シーンとなる定食屋のセットも、大泉のステージに建てられている。「麻宮サキの部屋のセットも大泉でしたけど、あそこは本当に何もなくて、質素なグレーの部屋に鉄仮面が置いてあるだけ(笑)。それが今回の食堂のセットは、メニューから何から隅々まで拘っていて、実はさりなげくヨーヨーまで飾ってあるんですよ(笑)。おそらく私が出演するのが決まって、わざわざ用意してくださったんでしょうけど、そういう愛をいっぱい感じながら、撮影の日々を過ごしています」

 「スケバン刑事II」から38年、「仮面ライダーガッチャード」で特撮作品への凱旋を果たした南野。彼女にとって、特撮ヒーロー作品の魅力はどこにあるのだろうか?

 「『スケバン刑事II』の麻宮サキは、幼少の頃から鉄仮面を被せられて、どれだけ苦しい思い、悲しい思い、悔しい思いを抱えてきたか……。でも、だからこそ、そんな思いをさせないために友達を守ろうとか、役柄を通して純粋な気持ちを肌で感じることができました。そういう『学び』があったのが、私にとっての特撮作品です。特に仮面ライダーは、小さなお子さんが、愛や正義、勇気と希望、そしてロマンといった、大切なテーマに初めて触れる作品だと思うんです。作り手もまた真摯な姿勢で取り組んでいて、そのエネルギーは間違いなく画として伝わると信じています」(取材・文:トヨタトモヒサ)

「仮面ライダーガッチャード」南野陽子インタビュー 「スケバン刑事II」から38年、東映特撮との縁を語る » 動画の詳細
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