豊川悦司「僕の横に美穂ちゃんがいなくて…」30周年『Love Letter』舞台あいさつで寂しさ吐露

俳優の豊川悦司が4日、TOHOシネマズ日比谷で行われた映画『Love Letter』4Kリマスター版の公開初日舞台あいさつに、酒井美紀、岩井俊二監督と共に登壇。作品を共にした故・中山美穂さんとの思いを語った。
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映画『Love Letter』は、1995年3月25日に公開された岩井監督の長編デビュー作。婚約者を亡くした主人公・渡辺博子(中山美穂)が、かつて彼が住んでいた小樽に送った手紙をきっかけに、フィアンセと同姓同名の女性・藤井樹(中山美穂・一人二役)との奇妙な文通が始まり、埋もれていた二つの恋が浮き彫りとなっていく。
中山さん演じる博子の友人・秋葉茂を演じた豊川は登壇すると、昨年12月に急逝した中山さんを偲び「僕の隣に美穂ちゃんがいなくて、とても残念な思いです。僕のなかでは『Love Letter』は美穂ちゃんの映画。たくさんの人に美穂ちゃんを観ていただいて、少し気が楽になった気分です」と神妙な面持ちで語る。
公開から30年が経過し、4K版としてまたスクリーンで上映されることに、豊川は「自分が出演した30年前の映画が、また映画館のスクリーンにかかるのは、なかなか経験できないこと。役者冥利に尽きます。この映画に出会えて良かった」と感謝を述べると「岩井監督とは『世にも奇妙な物語』の『ルナティック・ラヴ』、16ミリの『undo “アンドゥー”』に次いで3本目だったのですが、とにかく現場はこだわり抜くので大変。この映画でもカメラ待ちで12時間ぐらいかかったこともありました」と振り返る。
当然、俳優はその間を待つことになるが、豊川は「12時間ぐらいずっと待つなか、僕も美穂ちゃんもお互い椅子を並べていても、あまり現場では話をしないので、無言なんです。12時間で2~3言話したぐらい。それでも彼女は静かに現場を愛しているように感じました。とても世界観が作品にハマっていた。僕は個人的に『Love Letter』は中山美穂の代表作だと思っているし、この作品の前後で彼女は変わったと思っています」と述べていた。
また、中山さん演じる樹の少女時代を演じた酒井は「私のデビュー作です。当時16歳だったのですが、私は中山美穂さんに憧れて芸能界に入りたいと思っていたんです。憧れの美穂さんと同じ役をいただき光栄に思っていたことを思い出します」と振り返ると「初めてお会いしたのは小樽のロケバスでした。同じ役だったので一緒の撮影はなかったのですが、たまたまお会いして。とても舞い上がってしまったのですが、ミーハーな気持ちを出してはいけない、と緊張していたのを覚えています。とにかく美しすぎて、見ることもできないぐらい眩しかったです」と懐かしそうに語っていた。(磯部正和)