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岩井俊二監督、中山美穂さんしのぶ「受け止め切れていない」 『Love Letter』の縁は「天国の美穂ちゃんにつながっている」

中山美穂さんとの思い出を振り返った岩井俊二監督
中山美穂さんとの思い出を振り返った岩井俊二監督

 岩井俊二監督が4日、TOHOシネマズ日比谷で行われた映画『Love Letter』4Kリマスター版の初日舞台あいさつに、豊川悦司酒井美紀と共に登壇。岩井監督は、昨年12月に急逝した主演の中山美穂さんをしのび「急なことだったので、いまだに受け止め切れていない感じがあります」と正直な思いを明かしていた。

【画像】豊川悦司&酒井美紀が登壇『Love Letter』舞台あいさつ

 映画『Love Letter』は、1995年3月25日に公開された岩井監督の長編デビュー作。神戸と小樽を舞台に、婚約者を亡くした主人公・渡辺博子(中山美穂)と、ひょんなことから手紙のやりとりをすることになった藤井樹(中山美穂・一人二役)との交流を軸に展開するラブストーリーだ。

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 岩井監督は当時を振り返り「この作品は僕にとって初の長編映画。正直なことをいうと、これで失敗してしまったら映画の仕事は来ないだろうなというプレッシャーがあったのです」と語ると「公開後、中国や韓国の方にも愛していただき、映画が大きく広がっていきました。公開してから長い年月が経過しているのですが、いまだに感想をもらったり、映画を勉強している10代の方からインスタのDMで『映画観ました』とコメントをもらったりしていたのです」と作品を愛してくれる人の思いを感じていたという。

 そんななか、昨年11月に中山さんに連絡をとったという岩井監督は「一緒に小樽を巡ったり、ちょうど美穂ちゃんが今年デビュー40周年になるので、何か一緒にやれたらいいねと話をしていたんです」と振り返ると「そんな矢先に本当に残念でした」と目を伏せながらも「でも、こうして30年経ってスクリーンで上映されるなんて魔法のような、何か持っている作品だなと思いました」と語っていた。

 また、岩井監督は中山さんの起用理由について「最初はプロデューサーの河井真也さんが『中山美穂さんはどうですか?』と提案されたんです。僕のなかでは、樹は美穂ちゃんがいつも演じていた役柄のようなイメージがあったのですが、博子の方のイメージがなかった。でも会うと、どちらかというと博子っぽかった。そのとき両方やれるのではと思ったんです」と述べると「でも美穂ちゃんから『映画はあまり好きじゃないんです』と言われて……。断られるのかなと思ったのですが『僕も映画は初めてなので、もしよかったら一緒に作りませんか』と話したら受けていただけることになったんです」と裏話を披露した。

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 そして、満員の客席を見渡した岩井監督は「作ったとき、まさか30年後にスクリーンで上映してもらえるなんて予想だにしていなかったです」としみじみ語ると「とても不思議な魔法のような作品。美穂ちゃんはいなくなってしまったのですが、『Love Letter』という作品との縁が細い糸で天国の美穂ちゃんにつながっていると思います。そしてこの縁が末永く続いてくれたら嬉しいです」と未来に思いを馳せていた。(磯部正和)

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