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高石あかり主演「ばけばけ」は“かつてない朝ドラ”に リアルな明治時代を映す、制作統括が意気込み

ヒロイン・高石あかり&少女期を演じる福地美晴
ヒロイン・高石あかり&少女期を演じる福地美晴 - (c)NHK

 2025年後期放送のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のリモート取材会が9日に行われ、制作統括の橋爪國臣が出席した。同作は、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツをモデルにした松野トキを主人公に描くオリジナルストーリーで、橋爪は「いままで見たことのない朝ドラです」と紹介。ヒロインの高石あかり(高=はしごだか)ら俳優陣や、クランクインしたばかりの撮影現場の様子を語った。

【画像】イメージ激変!『ベイビーわるきゅーれ』殺し屋役の高石あかり

 同作の出発点は、橋爪が「成功した有名人や、それを献身的に支えたりする偉人の物語ではなく、時代に翻弄される普通の人たちの日常の可笑し味や不条理さみたいなものををつぶさに描きたい」という思いを抱いたところからだった。そういう傾向の作品が得意な脚本家のふじきみつ彦とともに、テーマに添う題材を探す中から八雲とセツを見つけたという。「怪談」で有名な八雲だが、まだ彼が何物でもなかった時代を軸にしている。「調べていくと、すごく深くて魅力的な人間臭い2人でした。どんどん惹かれていって、このテーマでよかったなと思っています」

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 トキ役の高石について、橋爪は代表作『ベイビーわるきゅーれ』シリーズを例に挙げ、「自然体なお芝居が素晴らしい方」と絶賛する。「台詞が台詞に聞こえないくらい、本当にリアルなんです。撮影中、あまりに自然に芝居に入っていたのでそれが演技だと気づかず、スタッフが途中で止めてしまったことがありました(笑)。ふじきさんの自然体の脚本を見事に体現してくれていて、本当に彼女を選んでよかったと思っています。正直、彼女に助けられているところがめちゃめちゃありますね」と語った。さらに「興味のアンテナが広くて、それが芝居の深みにつながっているのかなと思います。それと、意外にたくさん食べる方でした」とお茶目な面も明かした。

和気あいあいな松野家のメンバー - (c)NHK

 トキの家族は、父・司之介を岡部たかし、祖父・勘右衛門を小日向文世が演じ、さらに24年ぶりの朝ドラ出演となる池脇千鶴が母・フミにふんする。「すごくいいですよ、この家族。トキの子ども時代を演じる福地(美晴)さんも含め、初日から『あなたたち、ずっと前からそこで暮していたんですか?』と思うくらい、みなさんが楽しそうに盛り上がってました」とキャスト陣の馴染み具合と和やかさを紹介。特に池脇については「自由なトキちゃんにちゃんと楔を打つんですけど、重くなりすぎない。それぞれの方向を向いている家族をまとめる芝居を、ちょうどいい塩梅でしてくださっています」と感謝を捧げた。

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 八雲をモデルにしたヘブンを演じるのは、イギリス出身で、エミー賞を席巻したドラマ「SHOGUN 将軍」にも出演した俳優トミー・バストウ。起用理由は「演技力も人間的な魅力も圧倒的でした。日本語がお上手なのもポイントですね」と橋爪。「ここまで役づくりをする人はめったに見ないです。八雲の著作はもちろん、我々も読んでないようなアメリカ時代の彼の新聞記事まで読み込んでくれていました」と驚きを隠さない。さらに、高石との相性も抜群だ。「あたかも生で会話しているかのような台詞や表情のやり取りができていて、一方的な芝居にならないところがお2人ともに共通しています」

 八雲といえば、セツの語る怪異や伝承に材を取った「怪談」が思い浮かび、作品タイトルからも「おばけ」が連想されるが、決して“怖いドラマ”ではないという。「そもそも『怪談』は、理不尽だったりちょっと不思議だったり、よくわからないけどこういう伝承があるんだよ、という魅力的なことが書かれたものなので、“怖い”というのとはちょっと違うと思います」と橋爪。「ただ、リアルな明治時代の生活感といいますか、当時の空気感とか光や汚れの感じ、人の雰囲気みたいなことをリアルに出していく朝ドラにしたいと思っていますから、明るく楽しくというだけではない、これまでとはちょっと違うテイストになっている気がしています。美術や技術のスタッフのみなさんが、めちゃめちゃ凝ったセットや照明、カメラワークを検討してくれていて。見たことがない映像かなと思っています」

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 トキは、何かを目指してまい進したり、周囲に明るさをふりまくようなヒロイン像ではないとのこと。「トキはいろいろなことに翻弄されて、巻き込まれながら、ただ生きていく人。弱いところもあるし、自分が張り切って進んでいかないといけないという人でもないんです。ごく普通の生活をしている、特別明るくも暗くもない人だと思います」としながらも、「高石さんは根の明るさがあるので、暗すぎることはないです(笑)。朝ドラらしいかといえば、そうではないかもしれませんね」と予告した。

 詳細は未定だが、撮影は島根県松江市をはじめ、熊本や東京など八雲ゆかりの地でのロケも予定しているという。橋爪は「いま、キャストもスタッフもみんながめちゃめちゃ情熱をかけて、細かいことまでこだわって作っています。それが画に出ていると思いますし、そういう映像が撮れているはず。息切れせずに、最後までこの情熱を持って続けていけたらいいなと思っています」と意気込みを語った。秋からはじまる物語がどんな魅力を放つのか、楽しみに待とう。(取材・文:早川あゆみ)

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