JUNKシリーズ第2弾『JUNK WORLD』カット数は2700 堀貴秀監督「ジブリ映画よりも多いと思います」

映画『JUNK WORLD』(6月13日全国公開)のスペシャル上映会が29日、新宿バルト9にて開催され、ゲスト登壇した堀貴秀監督が作品の制作秘話を語った。
【動画】第2弾は“日本語”音声!映画『JUNK WORLD』予告編
本作は、2021年に劇場公開されたSFストップモーションアニメ映画『JUNK HEAD』に続くシリーズ第2弾。前作の世界観はそのままに、『JUNK HEAD』の1042年前を舞台に、人工生命体によって支配されている地下世界で異変が起きる中、カルト教団に狙われる人間の女性を、主人公のロボットが守ろうとする姿が描かれる。
前作は約7年の歳月を費やして製作されたが、本作は約3年と半分の日数で映画が完成した。堀監督は「前作は一人で作り始めて最終的にも3人ぐらいでの製作でしたが、今回予算が少し増えて6人で作ったんです。どうにか3年ぐらいで作れました」と苦笑いを浮かべつつ、「正直ゆっくりと見直す時間がなく、ちゃんと面白いものができているのか、いまだに不安で不安でしょうがないです」と心情を吐露した。
しかし、客席から大きな拍手が巻き起こると、堀監督は安堵の表情を浮かべながら「一部お下劣に走ってしまって気になっているのですが」とつぶやいていた。
本作のカット数を聞かれた堀監督は、「2700カットぐらい。かなり多い方じゃないですかね。それだけはジブリ映画よりも多いと思います」と語ると「コマ撮りの弱点として、長回しが難しい。アクションシーンなんかは、特にカットを繋げてごまかしながらなので、どうしても増えてしまうんです」と苦労話も。
こだわった部分や大変だったシーンについては、「全部」と語った堀監督。その理由について「全部アナログで知識がないところから、勉強しながらの撮影でした。人形も最初は1体ずつ石膏でこねて作っていたのですが、今回は3Dプリンターで出力するなど、世界観を広げることができましたが、技術を学びながらなのでとても大変です」と試行錯誤しながら一歩ずつ進めていったという。
映画は完成したが「後半はなかなか進まなくて、かなり追い込まれました」と振り返ると「CGなども使っていますが、コマ撮りした映像にCGをなじませる部分も、かなり勉強をしました。本当に余裕がなかったです」と一つの作品を作り出すために、極限まで心血を注いでの製作だったことを明かしていた。
この日は、本作の「ゴニョゴニョ版」(日本語字幕)の上映も決定。その一部がスクリーンに映し出されると、会場からは拍手が。堀監督も「いま上映したところは大人しい部分。かなり期待してください」と出来に自信をのぞかせる。最後に堀監督は「まだまだ不安な状態なんです」と語り、「良いも悪いも、意見を書き込んでくれると心が落ち着くかもしれません」と客席に呼びかけ、「やっと第2部まで作ることができました。第3部も当然レベルアップして間違いなく楽しい作品になると思いますので、応援よろしくお願いいたします」と未来に思いを馳せていた。(磯部正和)


