26年度後期朝ドラは石橋静河主演「ブラッサム」作家・宇野千代がモデル

2026年後期に放送されるNHK連続テレビ小説第115作が「ブラッサム」に決定し、俳優の石橋静河(いしばし・しずか)がヒロインを務めることが29日、NHK大阪放送局にて行われた会見で発表された。脚本は、「マルモのおきて」「ブギウギ」の櫻井剛(さくらい・つよし)が執筆する。
本作のモデルは、明治、大正、昭和を駆け抜け自由を求め続けた作家・宇野千代。山口県の岩国に生まれ、作家として活躍しながら、1936年にファッション雑誌「スタイル」を創刊。エッセイやコラムなど人気を博すも、戦争の激化とともに廃刊を余儀なくされる。終戦後は「スタイル」を復活させ、着物のデザインや販売も始める。1957年に代表作である「おはん」が野間文芸賞を受賞、85歳で自伝的小説「生きて行く私」を刊行し、100万部を超えるベストセラーとなった。
「ブラッサム」では、主人公・葉野珠(はの・たま)が、小説を書きたいという幼き日の夢を諦めず、故郷・岩国を飛び出し、魅力的な人々との出会いによって、夢を手繰り寄せ、大正・昭和の激動の時代へと突き進んでいく。結婚に離婚、震災に戦争、倒産に借金……波乱万丈に満ちた出来事が幾度も押し寄せても、どんな苦難の中からも「幸せのかけら」を見つけ出し、小説を書くことを決してやめず、一流作家としての地位を確立していく。
タイトルの「ブラッサム」は開花を意味し、「咲き誇れ」という思いが込められている。主人公の珠が自分を肯定し、奮い立たせる言葉であり、小説やファッションで人々に幸せを運んだ宇野の天真らんまんな生き方にも重なる。
ヒロインの石橋は、1994年生まれの東京都出身。2015年に俳優デビューし、2017年に初主演作『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』でブルーリボン賞ほか多数の新人賞を受賞した。2022年には、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」に静御前役で出演。朝ドラ出演は、2018年の「半分、青い。」以来2回目となる。
脚本の櫻井、制作統括・村山峻平のコメントは以下の通り。(編集部・倉本拓弥)
櫻井剛(脚本)
くれぐれも「ブラッサム」です。ブ「ロ」ッサムではなく、「ラ」です「ラ」。さぁ声に出してみましょう。「ブラッサム」……ほら、花咲く感じがしませんか? 作家・宇野千代さんは、小説家、着物デザイナー、雑誌の編集と、さまざまな花を咲かせた人物。宇野さんをモデルにした本作の主人公・葉野珠もまた、たくさん書いて書いて働いて、そして華やかに恋もして、色とりどりの花を咲かせてくれると思います。人生の喜びも痛みも、その全部を養分にして珠がどんな花を咲かせるのか、みなさん是非お楽しみにして下さい。
村山峻平(制作統括)
世の中では「人生100年時代」と言われています。受け止め方は人それぞれですが、正直、途方もなくて大変そうだなと感じていたところ、宇野千代さんの本と出会いました。明治、大正、昭和、平成を駆け抜け、98歳までご健在であった宇野さん。
どんなにつらく苦しいことがあっても「生きること」を選択してきた、およそ100年の生き様に心を動かされました。同時に、目の前にある一日の大切さにも気づかされました。一日を迎える自分の心や気分、そして相手にかける言葉や表情次第で、その日がたのしいものに変わりうる。そんな一日をちょっとずつ積み重ねていくことが、愉快で幸せに思える人生につながる、のだと。
「ブラッサム」の作者の櫻井剛さんは、夜ドラ「あなたのブツが、ここに」でご一緒しました。日常の人々の息づかいを優しい目線でありながらも鋭く切り取る櫻井さんだからこそ、主人公・珠の生きる激動の時代に新しい光を当てられるのではないかと思い、お願いしました。主演の石橋静河さんは、自然体でありながら、その独特の雰囲気と「まなざし」が印象的で目が離せず、主人公・珠として生きる石橋さんを見たいと思い、オファーしました。
珠が生きる一日一日は目まぐるしく、時に苦しみや悲しみに襲われることもありますが、戸惑い悩みながらも、愉快に痛快に前に突き進んでいく珠の姿によって、見ている皆さんの一日一日に、ぱっと花を咲かせるようなドラマを半年間お届けできればと思っています。


