鹿賀丈史、全壊した家の前でも演技 復興支援映画に出演 常盤貴子と能登への思い語る

俳優の鹿賀丈史と常盤貴子が12日、都内で行われた北陸能登復興支援映画 『生きがい IKIGAI』「能登の声 The Voice of NOTO」の公開記念舞台あいさつに、本作のメガホンをとった宮本亜門監督と登壇した。
本作は2024年1月1日に発生した能登半島地震を題材にした復興支援映画で、地震によって崩壊した家から救出された元教師の山本信三(鹿賀)と、被災地ボランティアにやってきた青年の交流を描く。作品はショートフィルムとなっていて、収益の一部が復興支援のために使われる。
石川県出身の鹿賀は「昨年の元日に大きな地震が起きまして、僕のいとこに被害がないかと電話を入れたんです。そしたら明るい声で大丈夫だと言ったんです。そのお家は海抜2メートルのところ。津波が来ると一発でダメになる場所に建っている。元気な声を聞いてホッとしました。石川を離れてもう随分になるけど、天気予報を見ていても石川の天気が気になったり、どこか自分の心に石川出身、という思いが強くあるんだと思いました」と能登への思いを告白。宮本監督が能登のリアルな姿を映像に落とし込もうとする本作への出演を決めたという。
また鹿賀は、能登で行われた先行上映をした際のエピソードも紹介し、「ご覧になった方が号泣したとおっしゃいました。災害からの復興を考えた時に、山本が再生していくプロセスを見て号泣したのかなって思いました。(撮影中は)全壊したお家の前での芝居でしたが、変に細かい芝居をするより気持ちのこもった演技をすれば大丈夫だと、細かい演技をしないよう気をつけました」と撮影の様子も紹介。「人生で一番セリフが少なかった映画だなと思いました」とユーモアも交えながら本作での演技を振り返った。
一方、常盤は、2015年のNHK連続テレビ小説「まれ」で能登を訪れて以後、能登との縁が生まれたことを紹介。「元日の地震の後、私は3月に『まれ』の撮影で知り合った人とはじめて能登入りをしました。そこから何度か行かせていただいたのですが、このお話をいただいた頃は能登のみなさんも少しずつ、それこそ生きがいを求め始めていた時期で、こういう場所で今、映画の撮影をしたら、能登で映画の撮影が行われていることがみなさんの希望になるんじゃないかと思いました」と出演を決めた経緯を振り返る。
また、映画を通じて社会にさまざまな問題提起が行えることを、過去に『花筐/HANAGATAMI』(2017)などで仕事をした大林宣彦監督から学んでいたといい、「当時、大林監督との出会いで映画人生が楽しくなったんです。映画の可能性を広げてくれた方。映画は記憶装置であるとも私に教えてくれました。今回、映画を通じて、あの時の能登の姿を映画という記憶装置に収められる、また映画を通じていろんな方にバトンを渡せると思った」と大林監督の出会いから得た考えや経験が出演を後押ししたことを告白。被災地を映画に撮る意義を熱を込めて客席に説明していた。(取材・文:名鹿祥史)
映画 『生きがい IKIGAI』/ドキュメンタリー「能登の声 The Voice of NOTO」は公開中


