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宮沢氷魚、「べらぼう」意知の悲劇に思い 渡辺謙に感謝「悩んだときには一番に相談」

宮沢氷魚演じる田沼意知
宮沢氷魚演じる田沼意知 - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で老中・田沼意次(渡辺謙)の嫡男・意知を演じた宮沢氷魚。若くして若年寄に昇進し蝦夷の上知(あげち)を実現すべく奔走し、恋仲となった花魁の誰袖(福原遥)の身請けも進み……と公私ともに充実した日々を送っていたが、27日放送の第28回では突然の悲劇に見舞われた。その時、意知は何を思っていたのか……? 宮沢がその解釈を明かすと共に、初の大河ドラマ出演となった本作での約1年間にわたる収録を振り返った(※ネタバレあり。第28回の詳細に触れています)。

【画像】意知(宮沢氷魚)に斬りかかる佐野政言(矢本悠馬)

 大河ドラマ第64作となる本作は、貸本屋から身を興し、喜多川歌麿、山東京伝、葛飾北斎、曲亭馬琴、十返舎一九らを見出し江戸のメディア王として時代の寵児となった蔦屋重三郎(横浜流星)を主人公にしたストーリー。脚本を大河ドラマ「おんな城主 直虎」、NHKドラマ「大奥」シリーズなどの森下佳子、語りを綾瀬はるかが務める。天明の飢饉により米の値が高騰し、田沼の評判は落ちる一方。家のため国のためにと駆け回る意知だったが、13日放送・第27回では番士(※城の警備にあたった武士)の佐野政言(矢本悠馬)に刀を向けられる展開となり、続く第28回ではその際に負った傷によって志半ばに死去。佐野も切腹することとなった。

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 父・意知に見守られながら死にゆく意知。この時の胸中に、宮沢は思いを巡らせる。
 
 「佐野に深手を負わされ、起き上がることもできないぐらい体が弱っている中、そばにいる意次に語りかけるのですが、一番最初に誰袖の心配をしているんですよね。意知って常に誰かのため、父上のため、民のために生き、自分を優先することがなかったので、それが最後の最後まで見えたという印象がすごく強くて。だから自分よりもまずは誰袖のことを心配して“身請けした女郎がおりまして。何卒その者の世話を……”と。やり遂げたかったことがまだたくさんあって悔いは残っているけど残りは父上に任せたっていう流れになっているんですけど、短い時間の中で意知の人生そのものを、脚本の森下(佳子)さんが見事に描いてくださっているなと」

父・意次(渡辺謙)に見守られる中、瀕死の意知

 また、本シーンには、演出・深川貴志のあるこだわりがあったとも。

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 「深川さんに1つ大きなこだわりがあって、意知が最後、拳を意次の胸にすっと当てる描写があるのですが、それは意知が多くを語らずとも、自分がやり残したことを父上に任せたっていう意志を表すものです。言葉がなくても意知の思いというか、意次に受け継がれていくものというのは、そこでしっかりと描けたと思います」

 政言が意知に斬りかかった原因の一つは、かつて意次が池に投げ捨てた佐野の系図。責任を感じた意知は“佐野を取り立ててほしい”と意次に乞うていたが、意次は耳を貸さず、そのつけは息子が支払うことになった。意知が事切れたのち、意次は「俺じゃないんだ」と自身を責めるが、宮沢はそんな渡辺の言葉を聞きながら「苦しかった」と振り返る。

 「その結末を迎えてしまったきっかけの一つには、意次の系図を捨ててしまったこともありますし、その後も意知が何回も意次に佐野を引き立ててもらえないかとお願いしていて。多分、意次がその一件をもう少し丁寧に理解して扱っていたら、もしかしたらこんな結末にならなかったかもしれない。意次自身も、多分わかっていると思います。佐野を恨む気持ちはあるかもしれないですけど、それよりも自分の過去の過ちが、多分一瞬で溢れ出たんじゃないかなと思います」

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佐野政言(矢本悠馬)に斬りかかられ、必死に抵抗する意知

 意知が亡くなる際に特に印象に残っているのが「佐野を責めないところ」だと言う宮沢だが、なぜ意知は佐野を責めなかったのか。

 「台本を読んでいると、佐野の気持ちもすごくわかるし、同情できる部分もあるんです。最終的に2人は全然違う結末を迎えますが、佐野の父親や家に対する思いは、意知も同じなんですよね。多分、2人が持っている根本的なものってすごく似ていて。自分の親に対する愛情とか覚悟ってところとか、全部繋がっている。だから意知としても佐野を理解できるし、何とか佐野の待遇をもう少し良くしたいと思ったのではないか。意次も基本的には家臣だったり、自分の周りに置いてる人物のことを大事にしているんですけど、おそらく自分の中でやらなければならない課題、ミッションが多くありすぎて、佐野に目を向けることができなかった、後回しにしてしまった。それが取り返しのつかないことに繋がってしまったんじゃないかと思います」

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意次の右腕として活躍した意知

 6月に放送されたNHKの情報番組「あさイチ」に宮沢が出演した際、「べらぼう」において特に熱く語っていたのが意次役の渡辺謙の存在だった。2人は2020年・2021年に上演された舞台「ピサロ」でも共演。宮沢にとって渡辺は大恩人であり、本作でも「学ぶことがたくさんあった」としみじみ語る。

 「謙さんは本当に優しい方。ドライ(※カメラなしのテスト)と本番の間までの時間などに、謙さんとお話をしている中で“このセリフはこう言った方がいい”“こう強調した方がいい”とか。謙さんが僕の芝居を見て感じたものを共有してくださいますし、チームをより良くしていこうと尽力してくださいました。それに、これまで培ってきたノウハウ、スキルというのはいわば商売道具じゃないですか。それを誰かと共有するというのは、自分の大きな財産を分け与えることになる。でも、謙さんは惜しみなく共有してくださいました。ですから収録期間中に行き詰まったとき、どうしたらいいかわからなくて悩んだときには、一番にご相談させていただきました」

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 大河ドラマ初出演にして、約1年もの長期間にわたる収録を終えた今、「役者としてだけじゃなくて、いち人間としてすごく充実した1年間だった」と振り返る。

 「もともと、大河ドラマに出させていただくことが自分の中でも1つの目標でもありました。朝ドラ(「ちむどんどん」)の収録中、隣のスタジオで大河ドラマの収録が行われていて、自分もあの世界に入ってみたいという憧れがあったので、それが叶ったことが最初はもう嬉しくて。でも実際に収録が始まるとそれに伴う責任も強く感じるようになって。特に20回以降は、意知を中心に物語が進んでいくので、不安もたくさんあって毎日不安でした。それを1個1個乗り越えていく日々が1年間続いて。大きな学びとしては不安だからこそ、それを取り除くためにもっともっと頑張らなければならないということ。同時に、自分のハードルを少しずつ上げていくこと。ハードルを越えたら、今度は同じ高さを跳ぶのではなく、ちょっとずつ上げていくことで、気がついたらすごく高いハードルも飛び越えられるということ。この経験はおそらくこの先の仕事にも繋がると思いますし、仕事以外でも自分の人生の中でいろんな困難、苦戦することがあると思うんですけど、この1年間の経験があるから自分ならできる、これくらいなら越えられるぞっていう風に自信を与えてくれた作品です」

 そうよどみなく語る表情はすがすがしく、「やり切った」ならではの充実感が感じられた。今年は「べらぼう」と同時期に収録していたというNHKドラマ「しあわせは食べて寝て待て」も好評を博し、今後は岸井ゆきのとダブル主演を務める映画『佐藤さんと佐藤さん』が秋に公開される。(編集部・石井百合子)

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