のん、『この世界の片隅に』は役者人生で「欠かせない作品」

のんが2日、都内で行われた終戦80年に合わせた映画『この世界の片隅に』のリバイバル上映・公開記念舞台あいさつに片渕須直監督と登壇し、本作に対する思いを語った。
2016年に公開された本作は、太平洋戦争下の広島県呉市を舞台に、つつましくも美しい日々とそこで暮らす人々が淡々と丁寧に描かれ、生きることの美しさが胸に迫る物語。口コミで話題を呼び、累計動員数は210万人、興行収入27億円を突破。第40回日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞に輝いたほか、国内外で高い評価を得た。
今年は戦後80年という節目の年であり、のんが声を務めた主人公のすずさんが生きていたらちょうど100歳になることから、全国88館で限定上映が行われている。のんは「再び劇場で観られる機会に恵まれたことをとってもうれしく思っております」と感激。「わたしの中でもこの作品はすごく特別で、役者をやっていく人生の中で欠かせない作品になっています。なので、こうやってずっとずっとたくさんの方に見続けていただける作品だということは心からうれしいです」と喜んだ。
会場には10回以上鑑賞した人や、本作に初めて触れた人、29歳以下の若い人もたくさんおり、のんは「戦時下の日本の出来事を直接体験した方に話を聞く機会が少なくなってきている中で、こういう生活があったのかもしれない……と思いを巡らせていくと、自分が生きているこの土地でこういう生活があったんだな、と想像することができます。そして、想像すると自分の生活の中にある幸せを感じることができると思います。それを尊く思えるような作品になっていたらいいなと思います」と期待を寄せた。
その後、MCから「すずさん、今はどのように暮らしていらっしゃいますか?」と質問されたのんは、「子供が大きくなって言うこと聞かなくて大変です。(子供は)16歳。9年も経つとものを言うようになりました」とすずさんに成りきって返答。続けて、片渕監督から「すずさん、標準語じゃないですか」と指摘されると、のんは「テレビを観ているので標準語は覚えました」と答えて会場の笑いをさらい、最後は広島弁に戻って「ほいじゃーねー(またね)」とにっこり。ほほ笑ましいやりとりに会場は温かい空気に包まれた。(錦怜那)


