『星つなぎのエリオ』監督が明かす名作SF映画のオマージュシーンに注目

ディズニー&ピクサーの最新作『星つなぎのエリオ』(公開中)は、宇宙を舞台にした感動のファンタジー・アドベンチャー。両親を亡くし地球で孤独を抱える少年エリオが、何光年も離れた星で“本当の居場所と大切なつながり”を見つける物語だ。
本作の大きな魅力の一つが、作品の随所にSF映画の金字塔へのオマージュが散りばめられていること。監督のマデリン・シャラフィアンとドミー・シーは、名作SF映画の数々を参考に、宇宙やエイリアンのシーンを描いたと明かしている。特に注目したいオマージュシーンは以下の3つ。
物語の鍵を握るエリオと孤独なエイリアン少年グロードンが初めて出会う場面は、リドリー・スコット監督の『エイリアン』へのオマージュ。薄暗い空間で繭のようなものにくるまれたエリオの頭上から、グロードンが突然現れ会話を交わす様子は、『エイリアン』で宇宙船員が恐ろしいエイリアンに襲われるシーンを彷彿とさせる。さらに、エリオが繭にくるまれている姿は、『エイリアン』のディレクターズ・カット版に収録されている、船員がエイリアンによって繭にされるシーンを思い起こさせる。ドミー監督は「私とマデリンは二人とも『エイリアン』の大ファンなのでその要素をこの映画にどう取り入れるかを提案するのは楽しかったです」と語っている。
エリオが憧れの星々の世界“コミュニバース”に招かれる際、宇宙船からまばゆい光が放たれエリオを包み込む場面は、スティーブン・スピルバーグ監督の『未知との遭遇』の有名なシーンをオマージュしている。独特の音階を使って謎の飛行物体と交信し、それに呼応して飛行物体から音階と共に光が放たれるという名場面が再現されている。マデリン監督は「『未知との遭遇』の大胆にもエイリアンに音を奏でさせるといった、映画のトーンも気に入っています。彼らは友好的なのか? 彼らの意図は何なのか? と、観る者を不安にさせるような不思議な雰囲気を醸し出しています。それはコミュニバースが明らかになる前の謎めいた雰囲気に似ており、私自身とても気に入っています」と告白した。
ネタバレになるため詳細は語れないものの、あるキャラクターの別れのシーンも『ターミネーター2』へのオマージュだ。アーノルド・シュワルツェネッガーが演じた、ジョン・コナーを守るターミネーターT-800の誰もが知る有名な姿を彷彿とさせる、ファンなら思わずニヤリとするシーンとなっている。
そのほかにも、『E.T.』や『スター・ウォーズ』シリーズなどからの影響が、照明や作品全体の雰囲気の細部にまで及んでいると製作陣は明かしている。(加賀美光希)


