ウェンズデー女優が語る心の変化 シーズン2で描かれるイーニッドとの“友情”

ティム・バートンが監督、製作総指揮を務めるNetflixシリーズ「ウェンズデー」シーズン2のパート1が8月6日から配信される。配信を控え、バートンやウェンズデー役のジェナ・オルテガをはじめ、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ]、ルイス・ガスマンらが、記者会見で製作裏話を語った。
お化け一家・アダムス・ファミリーの長女ウェンズデー(ジェナ)が、特殊能力を持った“のけ者”たちが通う寄宿学校ネヴァーモアで次々と経験する奇怪な出来事を描く本作。2部構成となるシーズン2では、未来を断片的に見れる幻視能力を持つウェンズデーが、ルームメイトのイーニッド(エマ・マイヤーズ)の死を目撃し、それを防ぐために、アダムス家の秘密を探ろうとする。
今シーズンから、ウェンズデーの弟パグズリー(アイザック・オルドネス)がネヴァーモアに入るほか、新しい校長(スティーヴ・ブシェミ)に寄付金集めを依頼された母親モーティシア(ジョーンズ)と父親ゴメズ(ガスマン)も学校に留まり、一家の祖母(ジョアナ・ラムリー)まで登場する。
バートンは、本作の製作動機について「シーズン1の脚本を読んだ時、まるで自分のために書かれたかのような不思議な感覚を覚えました。僕は10代の女の子ではないですが、それでも時々、本当に心に響くものを感じたんです。家族、学校、精神医学など、あらゆることに対するウェンズデーの考え方が大好きでした。このドラマを手がけたいと思ったのは、あの特別のキャラクターの強さに惹かれたからです」と振り返る。「僕の全人生において、変じゃない家族なんて、ひとつも知らない」「学校なんて大嫌い」と言う彼が、ウェンズデーに共感を覚えたのももっともだ。
そして、ダークで毒舌、驚異的なカリスマ性を持つウェンズデー役で、ハリウッドの若手女優のトップに躍り出たジェナも、演じていてもっとも楽しいのは「彼女の強さと自信」だと言う。
「キャラクターを分析するとき、何が彼らを不安にさせたり、内気な性格にさせるのか、認めたくない痛ましい資質は何なのかについて(自分のなかで)議論します。でも、ウェンズデーにはそういうことが全くなくて、あるがままの自分でいられるんです。彼女の立ち方とか、身のこなし方なんかを考えている時、何かがウェンズデーらしくなかったりすると、すぐにわかります。彼女にはルールのリストのようなものがありますが、それは素晴らしいガイドラインで基本なんです。撮影中に迷ったりしたときは、いつもその資質や姿勢に立ち戻ります。または、もし私が反応しなかったり、ウェンズデーにとって何かがあまりに醜悪だったら、その場から立ち去ることもあります(笑)」。
人とのつながりを恐れるウェンズデーは、決して“ハグ”をしないキャラクターだが、シーズン1のラストで、初めて人狼に変身して彼女を助けたイーニッドとはハグし、今シーズンでは、彼女を失うかもしれない予感に苦しめられる。
「“ハグ”のように、本当にトラウマになるような恐ろしい出来事が起こった時、何も起きなかったことにしてしまうことがありますが、ウェンズデーもまさにそうです。シーズン1の終わりにイーニッドに対して警戒心を解き、シーズン2ではイーニッドとの友情を疑われるのを嫌がります。彼女は家族のようになったんです。ウェンズデーは普段あまり傷つきやすいわけではないし、たいてい部屋の中で一番賢い。でも彼女は、家族への愛、あるいは憎しみ、情熱を決して否定しないんです」と、ジェナは役へのアプローチを説明した。
そして、シーズン2で最も大変だったのは、新しい武器の扱い方を覚えることだった。「これまで、人に使ったことのない武器の使い方を覚えるのに、少し時間がかかりましたが、習得は早い方でした。スイスアーミーナイフの使い方を覚えましたし、斧を使う必要もありました」
また、バートンと仕事をするためには「学ぶことが山ほどあった」とジェナは言う。「ティムとの仕事が大好きなのは、日々の作業が事前に用意されていないからです。セットに入って、彼に理解してもらい、あらゆる視点から見てみるのは本当に素晴らしい。毎日何か新鮮な発見があるんです。テレビ番組は、型にはまったやり方や、ショットに陥りやすいと思いますが、ティムには、多くのセットアップをしたい日もあれば、全てをひとつにまとめたい日もあります。常に脚本に沿っていて、たった一つのセリフを基に(ショットを)決めることもあり、本当に興味深いです。ティムの優先順位は、おそらく一般的な監督とは違うのでしょう」。
一方、バートンも、ジェナと一緒に仕事をすることをとても楽しんだようだ。「シーズン1の初日、ジェナは誰よりも早く撮影現場にいて、全てを見ていたのを覚えています。彼女は、時々、僕よりも(ウェンズデーを)知っていることもあります。みんな自分のキャラクターをよく知っていて、僕を驚かせてくれる。それが大好きなんです。新鮮さを保ち、実際に映画であるかのような感覚を保つことができます。僕たちは、常に小さな映画を作っているんですよ」と熱く語る。
ところで今回は、バートンならではのストップ・モーション・アニメーションの登場シーンも見どころのひとつだ。パグズリーをはじめ、新しくネヴァーモアの寮に入ったみんなが聞かされる怖い話で、余命数ヶ月と言われ、時計仕掛けの心臓を自ら作り、生き延びた天才少年が描かれる。その後、彼は、寮で実験中に命を落とし、スカルツリー(頭蓋骨のかたちをした木)の下に埋められたが、今でも彼の心臓の音が聞こえるという。
「僕はアニメーターとしてキャリアをスタートさせたので、最初の作品は短編のストップモーションアニメでした。これは子供たちによって語られる物語なので、今作のストーリー展開にピッタリでした。学生だった頃、拾った物を使って低予算で作ったアニメーションのようなクォリティを与えたかったんです。予算がかかりすぎるので、実写で撮影することは出来ませんでした。暖炉のそばで、奇妙な物語を語る奇妙な子供たちにぴったりだし、それを手がけるのは楽しかったです」とバートンは話す。
すでにシーズン3の制作が発表されたということで、シーズン2の完成度にも大いに期待できそう。さらに、2部作のパート2に伝説の教師役で出演するレディ・ガガの登場も今から楽しみだ。(吉川優子/Yuko Yoshikawa)
Netflixシリーズ「ウェンズデー」シーズン2 パート1は配信中、パート2は9月3日(水)より世界独占配信


