『星つなぎのエリオ』アニメーター泣かせの高難度キャラクターとは?

ディズニー&ピクサー映画『星つなぎのエリオ』でアニメーションスーパーバイザーを務めたジュード・ブラウンビルとトラヴィス・ハサウェイがインタビューに応じ、多数のエイリアンが登場する本作ならではの挑戦を明かした。
アニメーションスーパーバイザーの仕事は、それぞれの得意分野やスケジュールを見極めてアニメーターたちに担当ショットを割り振り、出来上がりを監修すること。制作時期によって参加人数は異なるものの、ジュードとトラヴィスは本作では80~90人ほどのアニメーターを束ねたという。
才能あふれるアニメーターたちに日々驚かされているという二人。トラヴィスは「『このアニメーターは〇〇(※ドラマ、コメディー、アクションなど)をやるのが上手いはず』といったブレインストームをするんだ。そうしてそれぞれに合ったショットを与えると、僕らが考えもしなかったようなものを持って来てくれたりする。そのキャラクターでありつつ、彼ら自身の要素もショットに入れ込んでいるというのかな。『想像もしなかったけど、コレいいね!』という感じ。それを見せた監督たちも同じ反応だったら『やったぜ!』となる」とやりがいを感じる瞬間を明かす。
本作の舞台は、さまざまな星の代表が集う場所=コミュニバース。ユニークなエイリアンたちが多数登場するが、中でも動かすのが高難度だったキャラクターは、心を読む能力を持つ大使クエスタだ。クエスタを自在に動かすことができるのは、限られたアニメーターだけだったのだという。
トラヴィスは「人間に関しては、デザインは映画によって違っても、リグ(デジタルの骨格)と動かし方はそんなに変わらないが、エイリアンたちの中には奇妙なキャラクターリグを持っている者もいるんだ。最初に、リグを組み立てた人にプレゼンテーションをしてもらい、これらがメインのコントロールで、こんな風に動かして……と教えてもらうんだけど、それに対して、『超クール! このモデルでやるのが待ち切れない!』と言う人もいれば、『このモデルには絶対に触れたくない』みたいな人も(笑)。僕たちはアニメーターたちにそれを表明してもらうようにしている。もし苦手な人に割り振ったら、そのモデルを理解している人より3倍時間がかかるだろうから」と明かす。
空中で無数のカードが集まり変幻自在に姿を変えながら、宇宙の神秘に何でも答えてくれる“お役立ちマニュアル”ユニバーサル・ユーザー・マニュアルのシーンも超難関だった。トラヴィスは「あれは技術的にとても難しいモデルで、95%のアニメーターが完全に理解するのは無理だった。僕たちも無理」と笑った。
一方で、主人公エリオの友達となるエイリアンの少年グロードンは、目がないキャラクターでありながら、その感情を表現するのは意外にも容易だったという。ジュードは「初めは目ナシで彼の感情を見えるようにできるのか、どこを見ているかわかるようにできるのか、ということを心配していたけど、実際は全く問題じゃなかった」と打ち明ける。「彼は大きな頭を持っているから、どこを向いているかも明らかだし、彼には12の腕&足と、耳、しっぽ、背中にパタパタするのもあって、感情はそうした体全体で表せたから」と振り返っていた。(編集部・市川遥)
映画『星つなぎのエリオ』は公開中


