ヒーロー映画のハードルが上がった…『スパイダーマン』ユニバース不振のソニーCEO「もう駄作は作れない」

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント会長兼CEOのラヴィ・アフジャが、自社で展開してきた『スパイダーマン』ユニバースの不振を受けて、スーパーヒーロー映画が興行的に成功するためのハードルが上がっていることを認めた。The Wrap が報じた。
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同社が展開する独自の『スパイダーマン』ユニバースは、2018年公開の『ヴェノム』を皮切りに、スパイダーマンに関連するキャラクターを主人公に据えて次々と映画化してきた。しかし、『モービウス』『マダム・ウェブ』とスピンオフを立て続けに公開するも、批評面・興行面ともに苦戦を強いられ、昨年公開された『クレイヴン・ザ・ハンター』はマーベル原作の映画史上最低のオープニング興行収入を叩き出してしまい、当初の勢いは完全に失われてしまった。
同サイトによると、ラヴィCEOが現地時間4日に行われた Bank of America の会議に出席した際、ヒット作を生み出す条件について言及したという。『アベンジャーズ』(2012)1作目が世界的成功を収めた2010年代半ばを「スーパーヒーローものなら何でもほぼ間違いなくヒットする時期」と表現したラヴィCEOは、「その頃はスーパーヒーローの(成功の)ハードルが比較的低かったのです。ほぼすべての作品が驚異的な興行成績を収めていました」と当時を振り返る。
ところが、現在はスーパーヒーロー映画においても「オリジナリティーが必要」だといい「何か新しい要素を加えなければならないですし、観客との感情的なつながりが必要です。“文化的イベント”としてマーケティングできる映画でなければなりません」と宣伝方法にも変化が見られると指摘した。
ソニーが2021年に全米公開した『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』は、全米歴代3位となる興収8.1億ドルを叩き出した。歴代実写のスパイダーマン3人が夢の共演を果たすなど、一大イベントとして多くのファンが劇場に足を運んだ。「観客が“劇場で一緒に観たい”と思うようなイベントに仕立てることが重要です。これは昔から変わりません。ただ今は、当時よりもはるかに難しくなっているのです」
『クレイヴン・ザ・ハンター』が不振に終わった『スパイダーマン』ユニバースは先行きが不透明だが、トム・ホランド主演の『スパイダーマン』シリーズは第4弾『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』(2026年夏に日本公開)が控えている。『ノー・ウェイ・ホーム』に続くヒットが期待される同作について、ラヴィCEOは「もう駄作は作れない」と自らにプレッシャーをかけつつ、映画の成功を祈っている。(編集部・倉本拓弥)


