『8番出口』映画の解釈巡り考察盛り上がる

累計販売本数190万本超のヒットを記録したインディーゲームを二宮和也主演で実写映画化した『8番出口』(公開中)。初日から3日間で動員67万2,000人、興収9億5,400万円を記録。興収が今年公開の実写映画でナンバーワンとなる好スタートを切ったが、SNS上では映画を観た人の考察で盛り上がっている(※一部ネタバレあり)。
【画像】おじさんの再現度も話題『8番出口』場面写真<11点>
2023年にインディーゲームクリエイターの KOTAKE CREATE が制作したゲームは、無限に繰り返される地下道の空間を4つのルールにのっとり、異変探しをしていくもの。正しく進めれば1番出口、2番出口と看板の数字が変わっていき、8番出口を出ればゲームクリア。異変を見逃したりあるいは異変と思い込んで引き返せば0番出口(振りだし)に戻る。映画ではゲームのプレイヤーにあたるのが二宮演じる「迷う男」で、主に彼の視点で物語が展開する。
~以下、一部ネタバレを含みます~
プレイヤーが延々と異変探しをするだけのゲームを95分のサバイバルスリラーにした脚本、終始緊迫感の途切れない演出。セリフが極端に少ないながら観る人を引きこむ二宮、河内大和演じる“おじさん”の再現度の高さなどが話題だが、映画の解釈を巡る「考察」が展開されているのが特徴。映画を貫く大きな謎が、主人公が迷い込んだ場所が一体どこなのかということ。そこで目にしていく“異変”の数々は何を示しているのか。河内大和、花瀬琴音、浅沼成、小松菜奈らが演じるキャラクターは何者なのか。そして、ラストシーンが意味すること。
SNS上では「時間が経てたば経つほど色んな考察が出来る」「二人であぁでもないこうでもないと考察しながら帰宅」「考察したくなるラストも素晴らしい」「ループや異変の意味を考察しながら楽しめた」「考察も楽しいし自分も異変を探す側になれる」「考察も人によって違うの面白い」「いろんな人の考察を読んでさらに面白いと感じました」などなど。当事者の発信のほか、第三者の考察を読んで理解を深める、という流れもできている。
川村元気監督は二宮演じる主人公について「言うなら彼は“世間”」と語っており、「例えば、電車に乗っていて赤ちゃんが泣いている。そのお母さんに怒鳴っている男がいたとして、大抵の人が見て見ぬふりをしますよね。僕もきっと見て見ぬふりをして、スマホを見ると思う。そのスマホの中で戦争が起きていて、子供が死んでいますというニュースを見てもスワイプする。それが世間で、主人公もその一人です」と話している。
なお、川村監督が映画の後に執筆したという小説版には、本編にはない描写が多く登場。主人公の心の声(モノローグ)が詳細に書き込まれているほかバックグラウンドもあり、ニュアンスのやや異なるラストシーンも含め、見比べるのも一興。デザイン面でも『8番出口』らしい仕掛けが施されている。(編集部・石井百合子)


