「ばけばけ」傳の“最期”、制作統括が明かす舞台裏「最大の愛情を与えた」トキ出生の秘密にも狙い

　高石あかり（高＝はしごだか）が主演を務める連続テレビ小説「ばけばけ」（NHK総合・月～土、午前8時～ほか ※土曜は1週間の振り返り）の第15回（17日放送）では、雨清水家の当主・傳（堤真一）が衝撃の展開を迎えた。制作統括を務める橋爪國臣が、雨清水家が勢揃いした傳の“最期”にまつわる舞台裏、ヒロイン・松野トキの出生に関する設定秘話を語った。

【場面写真】“父”の最期を受けたおトキが…第15回涙のシーン

　連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン（小泉八雲）をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

　第15回では、雨清水家の三男・三之丞（板垣李光人）が、病で倒れたと、妻・タエ（北川景子）、トキの前で、トキが雨清水家の実の娘であるという秘密を明かす印象的なシーンが描かれた。その話題をトキがどう受け止め、どのような態度を取るかについては、脚本家のふじきみつ彦とディスカッションを行なった上で台本を決定したという。橋爪は「彼女が出生の秘密をいつどこで知ったかは明確にせず、どこかで知ったんでしょうという感じにしています」とその狙いを振り返る。

　「トキはそれにショックを受けたでしょうが、『そういうこともあるよね』と受け止めてしまう子にしたいという話を、脚本を作っている際にディスカッションして決めました。実はそうだったんだ、みたいな衝撃を受けるより『私、知っていましたけど。だから何？』みたいな方が彼女らしいし、この物語のテーマに近しいものになると話をしました」

　橋爪は同シーンの撮影について「役者の感情がすごく乗るシーン。みなさんに積極的に話しかけることはせず、撮影現場の生の空気を壊さないことを心がけてスタッフも撮影を行なっていました」と当日の様子を紹介。「ディスカッションをして撮影に臨んだというよりは、これまで積み上げてきたものがたくさんあったので、そういうものが役者から出てくるのを待つという感じで、撮影が行われていました」と緊張感のある傳の最期を回顧した。

　傳がトキの出生に関して、トキの前で自分の娘であることを否定するシーンもとても印象的に描かれるが、橋爪は「あれは傳さんの覚悟だと思っています。それは墓場まで持って行くと決めた覚悟です。娘ではないと言うことで、トキに最大の愛情を与えたシーンでもあるんです」と説明する。「傳さんの最後はかなり長いシーンで、台本に書いていない隙間の部分が役者の中で募り、それがセリフのやり取りの中に強く現れるシーンだったと思っています。緊張感がありながらも、温かく全てを包み込むような不思議なシーンになりました。人の生死が関わる重たいシーンですが、重たいだけで終わらないシーンだったと思います」と胸を張った。

　また、堤が演じた傳の役割についても「トキの生き方、将来を導く存在だったと思います。今はそうではないけれど、人生の最後を振り返るとそういう人だったという、そんな存在です」と説明していた。（取材・文：名鹿祥史）