『エターナルズ』クロエ・ジャオ監督、講談社とハリウッドにスタジオ設立 日本の漫画や小説を実写映像化へ

映画『ノマドランド』『エターナルズ』で知られるクロエ・ジャオ監督が4日、講談社で行われた「Kodansha Studios 設立発表会見」に出席し、出版社である講談社とプロデューサーのニコラス・ゴンダと共に、ハリウッドを拠点にした新スタジオ「Kodansha Studios」を設立することを発表した。クロエ監督は「とてもワクワクして嬉しいです」と目を輝かせた。会見には、講談社代表取締役社長・野間省伸も来場した。
【動画】戯曲「ハムレット」誕生の裏側…クロエ・ジャオ最新作『ハムネット』予告編
「Kodansha Studios」は、第93回アカデミー賞作品賞などに輝いた『ノマドランド』で監督・脚本・編集・製作を務めたクロエ監督が、最高クリエイティブ責任者として、企画やクリエイティブを統括し、最新作『ハムネット』(2026年春公開予定)でもタッグを組んだニコラスが最高執行責任者(COO)を務める。講談社専務取締役の森田浩章が最高経営責任者(CEO)に就任し、日本で出版された多種多様な漫画や小説を海外実写映像化およびグローバル展開していく。
クロエ監督は「今回のことはとてもワクワクして嬉しい機会です」と手を振り笑顔を見せると「私は子供のころから、深く日本の漫画やアニメを愛しています。本当にこのような機会をいただけたことは光栄です」と目を輝かせる。
野間社長は、今回のプロジェクトについて「我々はさまざまな物語を作ってきました。いま海外で日本のエンターテインメントが人気。ハリウッドや海外から実写映画の企画をいろいろいただきます。でもそれをクリアしていくためには、課題も多かった。今までは原作権を海外に渡して、そちらにお任せだったのです。今回我々が企画会社を立ち上げ、日本のIPやクリエイターを世界に広げていきたい。コラボして化学反応を起こしていきたいのです」と語る。
その際、クロエ監督に託したことについて、野間社長は「2年半ぐらい前にハリウッドで初めてクロエに会いました。彼女はアジア人唯一のアカデミー賞受賞監督で、日本の漫画が大好きなことを存じ上げていました。お会いして話すと、本当に彼女は漫画が好きなのです。この方なら実写もアニメも作ることが出来ると思ったのです」と語る。それを聞いたクロエ監督は「私は東と西の文化の懸け橋になりたいと、子供のころからずっと思っていました。異文化同士が理解して素晴らしい作品を作りたい」と意気込みを語る。
さらにクロエ監督は「私にとって日本の漫画は、自分の骨と血と肉を作ったと言えます。漫画だけではありません。小説、アニメ、同人誌といった全てに影響を受けました。私は孤独な子供でした。ですから、漫画の中のキャラクターが友達だったのですね。それは私だけではなく、世界の多くの人に共通する思いだと思います。ですから、漫画のシリーズが1年続いていく間、私もその漫画のキャラクターと一緒に成長していったという印象です」と思いを語ると、「もともとは漫画家を目指していたのです。ただ絵を描くのがあまり上手くなかったということで断念しました。ですが、子供の頃から漫画を通して人間の描き方を学びました」と自身の創作に大きな影響があったことを述べていた。(磯部正和)


