山時聡真&菅野美穂W主演、難病の母と息子の感涙物語『90メートル』3月公開

スタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』で主役声優を務め注目された山時聡真と菅野美穂がダブル主演を務める映画『90メートル』が、2026年3月27日に全国公開されることが決まった。あわせて特報とティザービジュアルも公開された。
本作は、人生の岐路に立つ高校生の息子と難病を抱えるシングルマザーの、複雑な想いと揺るぎない愛を描いた物語。高校3年生の藤村佑は、難病の母・美咲と二人暮らし。東京の大学に進学したい気持ちがありながらも、日に日に身体の自由がきかなくなる母のそばを離れられない状況下に置かれ、将来の選択を迫られる。そんな息子を前に、「おかあさん、大丈夫だから」と優しく声をかける美咲は、我が子の希望ある明日を強く願っている。
息子の佑を演じるのは山時。バスケットボール一筋だったが、母の病気を機に辞め、美咲のケアと家事をこなす日々を送る等身大の主人公を体現した。山時は「佑の抱えている思いを100%理解しているかといえば、正直わかりません。しかし、佑として生きていく中で、自分自身との葛藤、母親の想い、沢山の方の優しさを感じました。今後の僕の人生を支える大切な糧になりました」とコメント。また、共演した菅野については、「お芝居は毎シーン、鳥肌が立つような感覚があり、姿勢や表現力にもすごく影響を受けました。それを一番近くで受けとめられたのは大きな財産になりました」と感銘を受けたことを明かした。
難病を抱える母・美咲を演じるのは菅野。脚本を読み、「それぞれが健気に生きているのに、でもどうにもならない現実に向き合わなければならない過酷さに、胸がつまりました」と深く共感し、オファーを快諾したという。菅野は「映画は気づいたら涙が頬を伝っていて、人生は困難だけれど、人は優しいと感じさせてくれる作品になっていました」と本作を評した。
監督・脚本は『か「」く「」し「」ご「」と「』の中川駿。本作は、監督自身が母親を看病した経験に基づいて、自身と母をモデルにキャラクターを作り上げた、初のオリジナル脚本となる半自伝的映画だ。この企画と脚本は、すでに釜山映画祭の「Asian Project Market 2024」でARRIアワードを受賞するなど、国際的にも高く評価されている。
解禁されたティザービジュアルは、桜が咲く春の光の中、前を向いて歩く学生服姿の佑と、その背中を穏やかな眼差しで見つめる母・美咲の姿を捉えたもの。添えられた「届かないで、私の願い。」というコピーが、息子を想う母の複雑な心情を静かに映し出している。特報映像は、美咲の息子への願いが込められた冒頭から始まり、最後に「母の本当の願いを知ったとき、温かい涙が溢れだす」というナレーションが流れ、感涙必至の展開を予感させる。山時、菅野、中川監督のコメント全文は以下の通り。(加賀美光希)
山時聡真/藤村佑役
僕が演じた藤村佑はバスケットボールに打ち込む普通の高校生です。それは僕の高校時代と同じ感じでした。何の心配もなく、楽しく過ごしていた日々の生活がある日突然、または徐々に奪われていく。そこからこの物語は始まります。自分のやりたいことを押さえ込み、世の中と距離を取りながら生きていくしかない現実。それは誰にでも起こり得る事であり、実際に多くの方が直面している現実でもあると思います。佑の抱えている思いを100%理解しているかといえば、正直わかりません。しかし、佑として生きていく中で、自分自身との葛藤、母親の想い、沢山の方の優しさを感じました。今後の僕の人生を支える大切な糧になりました。
お母さん役の菅野さんは現場でとても明るく、誰に対しても気さくで、常に親しみやすい距離感を保ちながら接して下さいました。お芝居は毎シーン、鳥肌が立つような感覚があり、姿勢や表現力にもすごく影響を受けました。それを一番近くで受けとめられたのは大きな財産になりました。
中川監督は、一つ一つの演出がとても丁寧で、それでいてまず僕たちに考えさせ、挑戦をさせてくれました。迷った時には時間をかけて真摯に向き合って下さいました。何より、監督とは本当に感覚が合います。言葉にしなくても通じ合える瞬間が多くあり、撮影終わりに「今日は最高だった」と声をかけてもらえると、心底、嬉しかったです。
90メートルという距離。それは長いのか、短いのか。遠いのか、近いのか。答えは人それぞれ違うと思います。この作品を観て、その答えを見つけていただけたらと思います。公開を楽しみにお待ちください。
菅野美穂/藤村美咲役
それぞれが健気に生きているのに、でもどうにもならない現実に向き合わなければならない過酷さに、胸がつまりました。多感な10代で自分の事でも精一杯なのに、人生を考えなければならないやるせなさ、子どもを思う母の気持ち、どちらも分かって深く共感しました。
山時さんとは今回初めてご一緒させて頂きましたが、作品を拝見していて、目に引き込まれる演技をなさるなぁと感じていました。お会いして、幅広く演じられる方だと感じました。
中川監督は映画への真摯で真っ直ぐな強い思いが清々しく、頼りになる監督でした。私がニュアンスを汲み取れない時もじっくり待って下さいました。
映画は気づいたら涙が頬を伝っていて、人生は困難だけれど、人は優しいと感じさせてくれる作品になっていました。
監督:中川駿
主人公の藤村佑役を演じた山時聡真君はどことなく僕に似ていて、まるで若い頃の自分を見ているかのように感じることが多くありました。実は、佑と母の美咲は、僕と僕の母をモデルに作っているので、その点から山時君は佑を演じるのにうってつけの人物でした。もちろんそれだけではなく、役に対する真摯な姿勢や素直で明るい人間性に、一緒に作品作りをする仲間としてとても助けられました。
美咲役を演じた菅野美穂さんを一言で形容するならば“圧倒的”でした。菅野さんのお芝居は僕のような若輩者が語るのは畏れ多いほどに素晴らしかったですし、それだけではなく、現場での在り方や、チーム内でのコミュニケーションの取り方など、一流の俳優とはかくあるべし、というのを色々な面から見せていただけたように思います。本作での菅野さんとの出会いが、僕の今後の監督人生に大きく影響していくだろうなと感じています。
本作は僕にとって三作目の商業作品ですが、原作ものではないオリジナルの企画としては本作が初めてになります。なので本作は今後、僕の名刺代わりの作品になっていくことと思いますし、そう受け取られても恥じない内容に仕上がったと思っています。是非、たくさんの方にご覧いただけると嬉しいです。


