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「ばけばけ」全員で異例のスキップ回 脚本家の狙い「これは僕の想像です」

ヘブン先生もスキップ!「ばけばけ」第8週より
ヘブン先生もスキップ!「ばけばけ」第8週より - (C) NHK

 連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の脚本を執筆するふじきみつ彦が、今週放送の第8週で描かれる“スキップ回”の狙いや、番組のキャッチコピー「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」が生まれた経緯について語った。

【画像】「ばけばけ」キャスト一挙紹介

 朝ドラ113作目の「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘で、作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツがモデルのオリジナルストーリー。島根や熊本などを舞台に、急速に西洋化が進む明治日本の中で埋もれていった人々や、怪談を愛する夫婦の何気ない日々を描く。

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 ヘブン(トミー・バストウ)の女中として働くことになったトキ(高石あかり※高=はしごだか)。第8週では、ヘブンが錦織(吉沢亮)の勘違いのせいでトキに対して気まずさを感じ、クビを宣言する。家族を支えるため女中を続けるしかないトキは、働きぶりでクビ撤回を目指すが、空回りばかり。そんな中、ヘブンから「ビア」を買ってきてほしいとおつかいを頼まれる。

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Q:朝ドラの執筆について

 朝ドラは15分×125回あります。私が今まで書いた最長の脚本が、同じ15分で全32回の夜ドラでした。その時も「長いな」と思ったぐらい、これまでよくあるサイズの連続ドラマを書いたことがなかったんです。連続ドラマに対する向き不向きもわからないぐらいなのに、朝ドラの長さは経験したことがないことのさらにさらに上をいくものでした。最初にお話しをいただいたときはこれは大変だなと思いましたが、引き受けたからには頑張ろうと思っています。

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 実際に書き始めてからは、書くことの長さは実はそんなに感じていません。先を見通してものを書くタイプではないので、スタッフのみなさんと一週一週の内容について打ち合わせを重ねて書く、ということを繰り返しています。

Q:「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」キャッチーコピーの誕生秘話

 もともとはキャッチコピーとして考えたわけではなかったんです。制作統括の橋爪さんが「ばけばけ」の企画書を提出するときに、そこに「ばけばけ」とはどんな話かというのを一枚くださいと言われて、そこに書いた内容の大見出しがこの言葉でした。まだドラマの大きな筋も決まっていなかったので、小泉八雲の怪談に引っ張られて、「うらめしい」というワードが出てきて、あまり考え込まず、すんなりと書いた覚えがあります。

 トキやヘブンの生き方は、貧しかったり、両親と疎遠だったり、うらめしいことが続いたという共通点があります。そんな二人が出会って、“うらめしい”から“すばらしい”に化けていく。そんな「ばけばけ」のの精神がひとことで表せたら良いなと思って、書いたのがあの文章でした。

 トキとヘブンに限らず、この物語に出てくる人はみんなうらめしいことがあります。それでも、笑顔を忘れないというか、どこかでこの世はすばらしいととらえて生きている登場人物たちであってほしいという願いも込めて書きました。

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Q:今週放送の第8週について

 松江に取材で行った時に、八雲が薬局でビールを買っていたという話を聞いたので、それをぜひ使いたいなと思っていました。女中であるトキがビールを買うよう頼まれたとしたら、当然ビールのことは知らないからどういう風に買うのだろうと考えた結果、このようなビア探しのエピソードになりました。僕にとっては王道の回です。

 今週は登場人物がみんなでスキップを練習するエピソードもあります。史実に八雲がスキップをしていたという話は全くないので、これは僕の想像です。一緒に身体を動かして楽しむことで、トキとヘブンの仲が縮まっていくとさらに良いなと思いました。“ビア”は言葉遊びみたいなところがあったので、他に西洋のもので身体を動かしたくて、「この時代の日本の人はスキップはやっていなかったのでは」とふと思いつきました。着物でやるのは大変かなとも思いましたが、一回書いてみたうえで演出の皆さんに委ねようと、先に書いてしまいました。そうしたら「(着物でも)できます」という話になったので、ぜひぜひ、みんなにスキップしてもらおうと。スキップは難しくてなかなかコツがつかめない、でもつかめたら一生できるという面白さがある動きです。それを大の大人たち、すてきな役者さんたちがすることで、面白いシーンになっていると思います。

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Q:今後の見どころ、視聴者のへのメッセージ

 これから、トキとヘブンが一緒になるまでをじっくり書いています。トキにとっては、まったく初めて見る異国の人。価値観の違いよりももっと手前の、本当に何も知らないところからの始まりでした。ヘブンも全然知らない土地である日本に初めて来て、怖かったと思います。そんなふたりが、全然自分とは違うことをどう受け入れていくか。ヘブンのモデルの八雲も「オープンマインド」と言っていますが、心を開いて、なんとか分かろうとして、お互いに歩み寄っていきます。

 今後も、「ばけばけ」のというタイトル通り、いろんなことが“化けて”いきます。うらめしいことだったり、悲しいことだったり、それがちょっとずつすばらしいものに変わっていくのを、見ていただけたらうれしいです。

 そして、何も起こらない週が来た時に、「あ、何も起こらないのに面白いな」と思ってもらえたら、それが一番うれしいです。

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