【ネタバレ】「相棒」右京の過去が判明?伝説の“事件師”とスリリングな頭脳戦

19日、連続ドラマ「相棒 season24」(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時~)の第6話「ティーロワイヤル」が放送された。特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)がSNSに関する通報の捜査を命じられたことをきっかけに、事件の完璧な隠ぺいを請け負う“事件師”と対峙する内容で、「頭脳戦すげー!」「今日の対決超面白い」「特命係の相棒vs事件師の相棒でスリル満点」と現実のSNSもにぎわっている。(以下、第6話の内容に触れています)
落ち着いた喫茶店で、男が角砂糖にブランデーを注いでフランベするのを見て、「ティーロワイヤルですか。贅沢な香りです」と語りだした右京。「まさか孫崎永良(まごさき・えいりょう/矢島健一)が喫茶店をやっていたとは」と右京が言えば、「杉下右京はもっと出世してるかと」と男が返す。「これが僕の人生です」。孫崎は「人生とはカードゲームみたいなもんなんですよ」と言い、右京は静かに笑みを浮かべた。
その約2か月前。内村刑事部長(片桐竜次)と中園参事官(小野了)に呼び出された右京と薫は、市民からの通報によってサイバーセキュリティ対策本部の土師太(松嶋亮太)が不審点を洗い出した事案について調べるように指示を受けた。早速、年金目当てに父親の死亡届を出さなかった娘の案件を調べ上げた特命係に、「いきなり鉱脈を掘り当てるとは、さすがです」と土師。さらに右京は、更新が止まっていることでファンが騒ぎ出していたダンス動画配信者・大村大(櫻井勝成)のサイトに注目する。
実は、大村は東京都教育委員会のトップである沼部恵子(田中良子)を脅し、逆上した彼女に殺害されていた。彼女の父である元文科省次官・沼部高雄(佐藤裕)は、事件を隠ぺいしてほしいと石栗幸平(加山徹)に依頼する。石栗は師匠である伝説級の“事件師”孫崎に「相棒が必要」と声をかけた。一度は引退した孫崎だが、妊娠した娘が金を必要としていたため、闇稼業に舞い戻る。孫崎は、殺された3日後まで大村が生きていたように偽装工作を施したうえで、渓谷から転落させ、身元不明死体として処理した。
一方の右京も、大村のサイトの更新と公的機関への接触の不自然さに気づいていた。大村とコラボしていたホステスの夏月姫(岡田香菜)と接触した右京と薫は、彼女が大村の返信に抱いた違和感を重視し、別人の偽装工作だと確信する。さらに、大村が最後に行ったレストランでの証言から恵子にたどりついた右京と薫は、彼女に面会を申し込むが、代わりに出てきたのはコンサルタントを名乗る石栗とそのアドバイザーと称する孫崎。孫崎は、相手が右京だと認めた段階で「杉下右京。最悪のカードが回ってきたな」と下手な小細工をあきらめ、正体をさらしたうえで「推理という名の妄想で冤罪事件を作り上げるのは警察の悪い慣習です」と右京をつっぱねる。
右京は、角田課長(山西惇)に聞いた孫崎が営む喫茶店を訪れた。その模様が冒頭のシーンだった。孫崎は、過去自らが罪を免れた事件について、「最初に描かれた絵では誰も死ぬ予定ではなかった。疑り深い捜査二課の刑事が暴走したことで、ああいう結末にするしかなかった」とあてこする。SNSでは「あのう……過去の事件の方でも1本作っていただいてもいいんですよ?」「退職後に喫茶店やりながら探偵やってる右京さんは観たい」と盛り上がっていた。
「ほんとに使えないわね!」と当たり散らす恵子に、「なめんなよ、ババア!」と孫崎は拳銃を向けた。止める石栗を容赦なく撃つ孫崎に恐れをなした恵子と父親は、孫崎の言うなりに報酬を払った。受け取った金の延べ棒をドルに替え、孫崎は娘に渡す。
大村を「あいつは疫病神だよ」と呼び、関わり合いを拒否していた大村の唯一の肉親である叔父の慎二(白石直也)が、薫と美和子(鈴木砂羽)にほだされて行方不明者届を出してくれた。おかげでDNA鑑定などが可能になり、身元不明死体が大村だと確定。沼部父娘と孫崎、石栗の容疑が固まった。
右京と薫が喫茶店に逮捕に赴くと、孫崎は優雅にティーロワイヤルを飲もうとしていた。右京は「計画が失敗したのに関わらず、勝者のような余裕がある。つまりあなたは自分の本当の目的を達成した、つもりでいる」「あなたは犯罪のプロです。僕と出会った時点で失敗の可能性を考慮し、計画を切り替えたのでしょう」と娘にすでに金が渡っていることを指摘する。だが、娘は夫に金を持ち逃げされ、子どもも流産。孫崎のことも「関係ないから」とつれない。
「なんてひどいゲームだ。もう何も残ってない」と言いながら毒をあおろうとする孫崎を止める右京。「あなたが抱えている罪悪感、後悔、懺悔。それらを抱え続けなくてはならない」「人生は勝ち負けではありません。そして、カードゲームよりも複雑で、意味がある」と右京は強く言う。そこに、死んだはずの石栗が「1人で逃げるより、2人で捕まるほうがいい気がして」と姿を現した。「これも、意味ってやつですかね?」と孫崎。「あなたが、そう思えるのであれば」と右京は静かに答えた。
「今回もまた『相棒』の話だったな」「弟子、その善良な心意気でよく犯罪者やってこれたな」「カタギの登場人物みんな人間のクズなのにガチの犯罪者の2人が(犯罪者なりに) 筋通してるじゃん」「犯罪は犯罪なんだけど、なんかちょっと胸にきてしまう」「孫崎は最後の最後に弟子には恵まれてたな」とラストの展開の熱さに感動の声があがっていた。
また「矢島健一と水谷豊のベテラン同士のせめぎ合い。見応えあった」「右京さんも犯人もなんか良い感じの大人の色気があるんだよな」とベテラン2人の芝居合戦も大好評だったが、「しかし矢島健一さん相棒何回目の別役再登場なんだよ(笑)」というツッコミもあった。
右京をつまらない(と自身が感じる)捜査につかせる内村が、いかにも嬉しそうに「暇だろう?」とほくそ笑んでいた姿は、特命係を嫌う内村らしい展開。さらに、夏月姫が大村について「返信来たけどなんか変で」「超細かいコトだけど引かない?」と語る問いに、「超細かいことが気になるのが僕の悪い癖。どうぞ」といつもの決まり文句に彼女の言葉を足したくだけた口調で応えるのは、右京の茶目っ気と、さりげない人心掌握術だろう。夏月姫が示した事実を「スタイロメトリー(文章の特徴を統計学的に分析して筆者を特定する学問)ですね」と素早く判断するあたり、「右京さんに見つからなければ完全犯罪だったのにな…」「事件師はよく頑張ったが、相手が必ずホシを挙げ師だからしゃーない」という声もあった。
次回は課長回!? ちょっと怖めの右京の「被害者ぶってるんじゃありませんよ!」がどういうシチュエーションで語られるのか、楽しみに待とう。(文・早川あゆみ)


