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「ばけばけ」錦織に異変…制作統括が明かすラストシーンの意図「ただの通訳という風には描きたくない」

錦織に何が…?「ばけばけ」第11週より
錦織に何が…?「ばけばけ」第11週より - (C) NHK

 12日に放送された高石あかり(高=はしごだか)主演の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)第11週・第55回では、これまで仲良く寄り添いあって来たヘブン(トミー・バストウ)と錦織(吉沢亮)の距離感に微妙な変化が生まれた。制作統括を務める橋爪國臣が、錦織のモデルとなった西田千太郎のエピソードを交えながら、第11週のラストで錦織の異変を描いた意図、ヘブンとの関係性について語った。

【場面写真】ヘブン(トミー・バストウ)が犯した過ちは…

 連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

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 錦織のモデルとなった西田千太郎は、ハーンが最も信頼を寄せた人物として知られる。後にセツとハーンの結婚の媒酌人を務めたことも史実として残されており、橋爪は、聖人君子のまま若くして亡くなっていった西田のより深い部分、聖人君子の仮面の下に眠っていたものも拾い上げ、それを錦織に落とし込みたいと考えていたことを振り返る。

 橋爪は、代々に伝わって来た西田家の家訓の存在を明かし、そこに西田の人物像のヒントが隠されていることに気づいたという。「彼の息子さんが書いたものだそうで、どの時代から使われていたものかはよくわかっていませんが、何十条も書かれていて、そのはじめに『あきらめ、而して、活動せよ』という言葉が書かれてあったんです」と明かす。

(C) NHK

 「あきらめ、而して、活動せよ」は、「諦めてそれから進みなさい」という意味だ。「西田千太郎はどんなことを諦めてきたんだろうと、すごく興味が湧きました」とその一文に魅せられたという。「松江一の秀才と言われながら、運の悪さでいろんなことがあまりうまくいかなかった。いろんなことを背負う中、ハーンと出会い、自分が成せなかったことを彼に託そうとする思いがあったんだと思います」

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 橋爪は「彼みたいなエリートでも当時、時代に翻弄されながら生きていくしかなかった。それをこのドラマの錦織にも背負ってもらいたいと思っています。今は引きずり回されて不運な人、でもその後の展開ももちろん描いていきます。そういう繊細な人物だからこそ、吉沢亮さんにこの役を託したのです」とも説明する。

 第55回の終盤、ヘブンにある質問をした錦織が、翌朝ヘブンを迎えに来なかった描写については「『あなたがこうするなら、私はこうする』というような、彼自身の思いみたいなことを出していかなければならないと思いました」とその意図を紹介。「日常において些細なことかもしれないが、何かが引っかかる……ヘブンと錦織の現在地を測る上でも、とても面白く象徴的なシーンに仕上がったと思います」

 さらに、橋爪は二人の関係性について「錦織がヘブンさんを好きすぎる関係性だと思っています」と述べ「こちらとしても、錦織をただの通訳という風には描きたくない。史実上も、二人は親友だったと言われているんです。今後もそんな二人の関係をより深く、魅力的に描いていきたい」と期待を込めて話していた。(取材・文:名鹿祥史)

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