吉沢亮『国宝』歌舞伎座上映に感慨 舞台上から「この景色を見させていただけるとは」

俳優の吉沢亮が31日、歌舞伎座で行われた映画『国宝』歌舞伎座大晦日特別上映会に、横浜流星、寺島しのぶ、見上愛、黒川想矢、田中泯、中村鴈治郎、李相日監督、そしてサプライズゲストの市川染五郎、市川團子と共に出席。大晦日に歌舞伎座の舞台に立った吉沢は「まさかこの舞台上からこの景色を見させていただけるとは」と感慨深げな表情を浮かべていた。
本作は、歌舞伎を題材にした吉田修一の小説を、映画『フラガール』や『流浪の月』などの李監督が映画化。歌舞伎役者の家に引き取られ、芸の道に人生を捧げる主人公・喜久雄(吉沢)の50年を描いた壮大な一代記。6月6日に全国公開されると、口コミで広がり、22年間破られることがなかった邦画実写映画の歴代興行収入の記録を塗り替え、30週目となった12月29日の動員ランキングでも6位にランクインし、12月30日現在、累計成績は動員1,309万8,000人、興収184.7億円を突破する歴史的大ヒットを記録している。
花道から登場した吉沢は「大晦日という特別な日に、この映画『国宝』のために時間を割いていただき、誠にありがとうございます」と観客に向けて深々と頭を下げると「(撮影のために)長い間足を運ばせていただいたこの歌舞伎座という場所で、まさかこの舞台上からの景色を見させていただけるとは思ってもみませんでした。非常に光栄です」と感無量な表情を浮かべていた。
映画『国宝』は東宝配給作品。歌舞伎座といえば松竹のお膝元だ。歌舞伎一家で育った寺島は「東宝の作品である『国宝』が、松竹が管轄する歌舞伎座で上映できるというのは奇跡。一生、忘れられないと思っています」と、今回のコラボの重大さを述べると「この作品が大きく羽ばたいて、日本の伝統芸能をたくさんの方々に観ていただく機会になったことを出演者の一人として感謝します」としみじみ語る。
吉沢は、6月6日の公開から約半年を振り返り「本当に『国宝』のおかげで、色々な経験をさせていただきました。海外の映画祭にも行かせていただいたり、各地方へキャンペーンで行かせていただいたり。そもそも公開から半年が経って、いまだにこうして皆様の前でごあいさつさせていただける機会というのは、本当にめったにないことだと思いますし、反響もたくさんいただいて。本当に、この『国宝』のおかげで忘れられない年になったなという風に思っております」と語る。
歌舞伎俳優ではない、吉沢や横浜が劇中、歌舞伎俳優として成立させるのは、並大抵のことではない。寺島は「ある日、二人が踊っているとき、李監督が『歌舞伎役者に見えますかね?』と話してきたんです。そのとき『見えるわけないよ』と思ったのですが、そこから絶対に歌舞伎役者として譲れないというところにまで持って行く、李監督の執念と俳優たちがすごかった」と撮影を振り返る。
本作にも出演し、歌舞伎監修を務める中村鴈治郎から丁寧に教えを受けたという吉沢は「我々は初めて歌舞伎に内側から触れたわけですが、鴈治郎さんはわかりやすく、動きよりも内面をしっかり説明してくださった。歌舞伎役者ではない人間が習得できるようなことをやってくださったんです」と感謝を述べると「李監督は本当に執念の人。我々を信じてくれるからこそ『もう一回』が多かった。自分でわかるまでやらせてくれるのは、とても厳しいですが、愛情を感じました」と柔和な笑顔を見せていた。(磯部正和)
映画『国宝』は公開中


