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2025年の成功作、失敗作まとめ 『鬼滅の刃』の世界的ヒットも!

日本公開も急きょ中止になった映画『M3GAN/ミーガン 2.0』より
日本公開も急きょ中止になった映画『M3GAN/ミーガン 2.0』より - (C)2025 UNIVERSAL STUDIOS. All Rights Reserved.

 2025年も、あと数日を残すばかり。毎年のことながら、ハリウッドでは大ヒットもあれば、期待されながらがっかりの結果に終わった作品もあった。具体的には、どれが勝者でどれが敗者だったのか。この1年のハリウッドのボックスオフィス事情を振り返ってみよう。(文/猿渡由紀)

すごすぎるスタイル…映画大コケで同業者から批判されたシドニー・スウィーニー

 今年前半から北米ボックスオフィスを盛り上げ続けた“優等生”は、ワーナー・ブラザース。つい最近、Netflixに映画部門と配信部門を売却すること、そして日本のワーナーは劇場配給ビジネスから撤退することを発表したばかりなだけに、「せっかく好調なのに」とあらためて惜しく感じられる。

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 まずは、春に公開された『マインクラフト/ザ・ムービー』。人気ゲームを映画化したこのアクションコメディーは、1億5,000万ドル(約233億円)の製作費に対し、全世界でなんと9億5,800万ドル(約1,484億円)を売り上げ、大きな利益を上げた。続いて、ライアン・クーグラー監督、マイケル・B・ジョーダン主演の『罪人たち』。日本の観客にはヒットの実感がないかもしれないが、実際、アメリカの人種差別の歴史をヴァンパイアが出てくるホラーの中で語るこの映画は、全世界興収の8割近くが北米から来ている。批評家の評判も抜群に良く、オスカーに複数部門で候補入りするのは確実。

 オスカーと言えば、ワーナーは『ワン・バトル・アフター・アナザー』『WEAPONS/ウェポンズ』にも期待をかける。前者は3時間のアートハウス系作品でありながら世界興収2億ドル(約310億円)を上げたのが立派。後者は製作費3,800万ドル(約59億円)に対し、全世界で2億7,000万ドル(約419億円)を売り上げたこの夏の大ヒット作だ。ほかに、ジェームズ・ガン主導で仕切り直したDCユニバース(DCU)の最初の作品『スーパーマン』も無事、良い成績を上げてみせたし、シリーズ最終章となった『死霊館 最後の儀式』も成功だった。

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 だが、ボックスオフィスの総額で見るなら、トップはやはり最大手のディズニーだ。『ズートピア2』と実写版『リロ&スティッチ』は、今年のハリウッド映画の全世界興収において首位と2位。さらに、先週末には『アバター:ファイヤー・アンド・アッシュ』も予想の範囲内の好調デビューを果たしており、過去2作のように20億ドル(約3,100億円)超えになるかはさておき、年末年始にかけて数字を伸ばしていくと思われる。

 ユニバーサルはというと、『ウィキッド 永遠の約束』(全世界興収4億8,800万ドル・約756億円)、『ジュラシック・ワールド/復活の大地』(8億7,000万ドル・約1349億円)、実写版『ヒックとドラゴン』(6億3,600万ドル・約986億円)をヒットさせた。

 ここで忘れてならないのは、『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』だ。日本で大ヒットしたこのアニメ映画は、北米だけで1億3,400万ドル(約208億円)、全世界で7億1,500万ドル(約1,108億円)を売り上げているのだから、感心させられるばかり。また、Appleが製作費をすべて出し、ワーナーに配給を任せた『F1(R)/エフワン』は全世界で6億3,100万ドル(約978億円)を売り上げ、Appleの劇場公開作品として初めての黒字となった。

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 一方で、大ヒットを生んだ前述のスタジオは、がっかりも経験している。たとえばディズニーの『白雪姫』。キャスティングや主演女優の発言などで公開前から物議を醸し出したこの実写版は、製作費2億5,000万ドル(約388億円)をかけたのに世界興収は2億ドル(約310億円)で、宣伝費なども考慮すると大赤字。この失敗を受けて、『塔の上のラプンツェル』実写化の話も一時期ストップがかかったほどだ(現在はまた始動している様子)。

 『トロン:アレス』も、2億2,000万ドル(約341億円)をかけたのに世界興収は1億4,000万ドル(約217億円)と惨敗。そして、今月12日に北米公開された、『エラ・マッケイ(原題) / Ella McCay』。メジャースタジオがロマンチックコメディーを作らなくなってきた今、『恋愛小説家』のジェームズ・L・ブルックスが久々にこのジャンルを手掛けるとあり、大人の女性の観客を呼び込めるかと思いきや、3,500万ドル(約54億円)の予算に対し、現在までの売り上げはわずか400万ドル(約6億2,000万円)。早くもトップ10圏外に落ちており、悲しくも大コケが確定してしまった。

 ユニバーサルは、ブラムハウス製作の『M3GAN/ミーガン 2.0』で痛い目を見た。1,200万ドル(約19億円)で作られた2022年公開のオリジナル版は1億8,000万ドル(約279億円)を売り上げただけでなく、ポップカルチャー現象まで生み出したのだが、2,500万ドル(約39億円)をかけた続編の世界興収は3,900万ドル(約60億円)止まり。この結果に希望を失ったからなのか、最近、来月公開予定だったスピンオフ映画『ソウルメイト(原題) / Soulm8te』が公開カレンダーから外された。ブラムハウス作品では、リー・ワネル監督の『ウルフマン』も赤字で、『M3GAN/ミーガン 2.0』同様、日本で劇場公開されなかった。

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 今年スカイダンス・メディアに買収されたパラマウントは、そのごたごたでしっかりマーケティングできなかったことも関係したのか、肝煎りだったSFアクション大作『ランニング・マン』がまるで冴えない結果に。世界興収は6,800万ドル(約105億円)で、1億1,000万ドル(約171億円)の製作費のほぼ半分。『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』(世界興収5億9,800万ドル・約927億円)も、パンデミックで製作費が4億ドル(約620億円)にまで膨れ上がってしまったせいで、満足というにはほど遠い。

 そして、常に手堅く主演作をヒットさせるドウェイン・ジョンソンは、伝記映画『ザ・スマッシング・マシーン(原題) / The Smashing Machine』で本格的な演技派に挑戦するも、北米オープニング成績はわずか600万ドル(約9億円)にとどまり、キャリア最低記録を作ってしまった。現在までの世界興収は2,100万ドル(約33億円)、製作費はそのおよそ倍。

 やはり小規模でスポーツ関連の映画では、シドニー・スウィーニー主演の『クリスティ(原題) / Christy』も、製作費1,500万ドル(約23億円)に対してたった200万ドル(約3億円)の世界興収しか上げられなかった。スウィーニーは今年最も話題に上がったセクシーな女優ながら、論議を呼ぶ広告に出演したり、トランプに気に入られたりなどしたせいで、アンチも生み出したのは確か。同業者からも「映画が失敗したのはあなたのせい」と批判されたりしている(もちろん、本当の原因はわからない)。

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 最後に、マーベルを見てみよう。今年公開された3作品の世界興収は、『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』が4億1,500万ドル(約643億円)、『サンダーボルツ*』が3億8,000万ドル(約589億円)、『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』が5億2,100万ドル(約808億円)。決して悪い数字ではないものの、製作費はどれも2億ドル(約310億円)前後かかっており、宣伝費も考えるとそう儲かっていない。もちろん、赤字だった2023年の『マーベルズ』(製作費3億ドル、世界興収2億ドル)や『アントマン&ワスプ:クアントマニア』(製作費3億3,000万ドル、世界興収4億7,000万ドル)よりは改善されたが、黄金時代のマーベルを思い出すと、なんとも物足りないのだ。

 しかし、来年は『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』と『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』が控える。人気のキャラクターが復帰するこれらの映画は、マーベル人気をまた盛り上げられるのか。ブランドの将来がかかったこの2作の出来に注目したい。

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